【マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~】レビュー・評価 面白くなってきた時間 5秒…を目指した、ハイテンポADV

ADV(ノベル)
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老舗の読者投稿型ADV評価サイト「ErogameScape 」には、面白くなってきた時間…という入力項目があります。
もしそこに『5秒』と書きたくなる作品があったとしたら…
それは確かに、ADVにイノベーション=変革をもたらす一本でしょう。

「マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~」は、1000枚を超えるイベントスチルと、ほぼ会話文のみで構成されたテキストで展開するハイテンポなADV。
次から次へと挿入されるギャグとスチル、更にカートゥーンアニメまで用意して、ゲームは常に賑やかに進みます。
萌えゲーアワード2020ではイノベーション賞を受賞しました。


一方で、物語の面白さは今一つな作品です。

タイトルマルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~
ジャンルADV(ノベル)
対応機種Switch、Steam
価格2480円(Switch版)
プレイ時間の目安8時間
備考Steam版は7800円

総評

テンポは良いし、勢いもある。
何より1000枚超のイベントスチルによる数の暴力は、有無を言わさないパワーを持っています。


開発スタッフは本作を「5秒で面白いADV」にしたと発言しています。

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その言葉通り、本作はとにかくハイテンポに物語が展開します。
大量のCGとほぼ会話文のみで構成されたテキストにより、ゲームは常に賑やかです。


一応、主人公マルコが銀河竜と共に母親を探す…という、本筋は用意されています。
しかし本作のシナリオは、正に暴れまわる竜のように、そこに腰を落ち着けません。

本筋よりもはるかに印象的なのは、ブッ飛んだギャグシーン。
これこそメインディッシュだと言わんばかりに、事あるごとに本筋から脱線。
ギャグへと突入します。

主人公 マルコ



そこでは大量のイベントスチルが数クリックごとに切り替わり、キャラはリアクションで場面を盛り上げます。
いわゆる地の文は必要最低限。
スチルと会話文でどんどん展開していく様からは、テキストADVの骨子はそのままながら、4コマ漫画のようなスピードを感じました。


ADVには立ち絵を動かす、差分を使って絵に動きを生むなどの表現が既にありました。
しかしスチルそのものを大量に用意、それらをある意味で使い捨てるようにしてエピソードを動かす作品は、「マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~」だけかもしれません。

肩に乗っているのが相棒の銀河竜…?

そんな本作を、唯一無二の作品に決定づけているのが、要所で挿入されるカートゥーンアニメ。
ADVに挿入されるものとは思えないクオリティで、尺もあります。


操作不可なムービーシーンの挿入は、ビデオゲーム全体で見れば、常識のような表現方法ではあります。
しかしアドベンチャーゲームにこれを用い、しかもリアリティレベルを落としたカートゥーンアニメ(トムとジェリーみたいなヤツ)で表現した作品は、少なくとも私は他に知りません。
賑やかさ、テンポにブーストをかけており、本作に独特な味を加えている要素。
ユニークだと感じました。

一方で残念なのは、テンポを重視したためか、ギャグがやや強引であること。
計算や理論を感じない唐突なギャグが多く、テンションについていけないシーンが多々ありました。
それでいて数は多い。
本筋よりもギャグに力を入れているぶん、気合いを感じる作品なのに、物語体験は意外なほどあっさりしています。

さすがに終盤はシリアスな展開も増えますが、その頃には本筋からすっかり心が離れてしまっており、遊び終えても胸に残るようなシーンは特になし。

場面を切り取れば良いシーンは十分あるだけに、これはもったいないと感じました。

賑やかで、勢いがある。ハイテンポ。CG多すぎ。アニメのクオリティ高い。
でも、シナリオがおざなりになってしまっている。
そんな印象を受けました。


また移植元であるPCとNintendo Switchのスペック差の影響でしょうか。
動作が重くなるシーンが少なくありませんでした。


まずは体験版を。

巧みな文章表現、頭から消えない名シーン、遊ぶものを唸らせる構成…
これらをADVに求める方には、本作は合わないでしょう。
ウリであるギャグも、テンポはあっても質が伴っておらず。

一方で、本作が持つ活字だけでは実現できないハイテンポ。
これは他のADVでは味わえない。
良いテキストを書く、緻密な構成のシナリオを作る…「マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~」が目指したのは、きっとそこではないのだと思います。
文章を削れるだけ削り、ビジュアルで表現。
この方向へと舵を切る作品はそう現れないでしょう
「5秒で面白い」
従来のADVには無い面白さ、表現を目指し、それをやり切った本作は、ADVファンならば一度触れる価値のある一本です。
物語だけが、ADVの命ではないのかもしれません。

OPテーマ「飢餓と宝玉」いちど聴いてほしい。

終わりに

本作はSteam等でも配信されていますが、Switch版と倍以上の価格差があります。
(Steam版7800円。Switch版2480円)

既存のADVと同じ視点で評価すれば、良い作品とは言い切れない本作。
であるからこそ、普段ADVを遊ぶ人も、遊ばない人も、一度体験して損はありません。

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