【赤いリボン ~奇妙な夢~】レビュー・評価 込めたのはわかるが、伝わらないメッセージ。薄味すぎる2Dアドベンチャー

1.0
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夏はホラー、そして大規模セールの季節。
リアルでもオンラインでもセールが開催される季節、皆さんはもう何か購入されましたか?

今回レビューする「赤いリボン ~奇妙な夢~」は、やはりセールで購入したDL専用タイトル。
不気味なジャケット画像とタイトル名から、他にない魅力を期待して購入しました

しかし内容はとにかく薄味で短すぎる作品。
不満の残る一本
なりました。

タイトル赤いリボン ~奇妙な夢~
ジャンル2Dホラーアドベンチャー
対応機種Switch / PS4 / Vita / Xbox one
価格500円
プレイ時間の目安1~2時間

総評

「赤いリボン ~奇妙な夢~」は、タイトル通り夢の世界を舞台にした、2Dアドベンチャーです。
見知らぬ世界で目を覚ます主人公「ロウ」
そこで出会う謎に包まれた存在たちの要求を聞きながら、現実世界への脱出を目指します。

主人公、ロウ



死生観や生き方にまつわるメッセージ性を感じる本作
しかし、その内容は不満の残るものでした

500円という安さを考慮しても、短すぎるプレイ時間
翻訳がうまくいっていないのか、伝わりづらいテキスト
アドベンチャーと呼ぶには薄味なゲームプレイ、分岐点がわかりづらいマルチエンド

と、遊んでいて次から次へと気になる点が出てきてしまいました。
更に公式サイトではホラーアドベンチャーと謳っていながら、怖いと感じるシーンは一度もなし。
人間にとって普遍的なメッセージこそ込められていますが、この内容では伝わることなく終わってしまうでしょう。

オススメしづらいゲームです。
ホラーとしてもアドベンチャーとしても、ほめるべき点を見つけづらい
メッセージ性こそ感じますが、そればかりを強調した結果、他がおざなりになってしまった印象を受けました。

詳しいレビュー

込めたのはわかるが、伝わらないまま終わるメッセージ

本作はアイテムを集めて謎を解く、2Dアドベンチャーゲームとされています。
しかし実際に遊んでみると、アドベンチャーとしては薄味な作りです。

キャラクターたちの会話を通したメッセージを伝えることに比重が置かれており、アドベンチャー要素はゲームを一直線にしないためのアクセント程度。

そしてそのメッセージの内容は、死生観や人間の生き方などに関する内容です。
しかしこれらは、本作を遊んでもほとんど伝わることがないだろうと感じました。

メッセージを伝えるための”前フリ”が不足しすぎているのが、その原因です。



ゲームを開始するといきなり夢の世界
シンプルな世界観のため何となく推測はできますが、唐突感も強く戸惑いもありました。

そして道なりに進むとキャラクターとの会話が始まり、やれ意識だ何だと、これまた唐突に小難しい内容を語りだします。
その後は謎解きとも言えないレベルのアイテム集め、使用を繰り返し、30分としない内にエリアクリア
最後にはまた、小難しい言葉でメッセージを伝えようとしてきます。
ゲームクリアまでこの繰り返しであり、総プレイ時間は2時間にもとどきません。



そもそもこの世界は何なのか?
そしてこのキャラクターは、どんなヤツなのか?
このゲームは、何をするゲームなのか?

これらの点についてろくな説明、あるいは理解させる表現がほとんどないまま、ゲームが進行し、気が付けばクリアしてしまっている。
その状態でメッセージを突き付けられても、深く受け止めて咀嚼する準備ができていないため、戸惑うばかりでした。
翻訳がうまくいっていないのか、会話の内容そのものが支離滅裂になっている部分が散見されるのも、プレイヤーの戸惑いに拍車をかけます。
演出面も非常に弱く、今が大事なシーンなのかどうかもよく分からない有様。

説明不足かつ展開が急すぎて、メッセージを受ける準備もできていないのに、一方的に投げつけてくる内容になってしまっていると感じました。





メッセージを伝えたいなら、まずは観客にそれを受け入れる準備をさせる…十分な土台作り、前フリが必要であり、本作にはそれが大きく不足していると感じました。

分岐点がわかりづらいマルチエンド

本作は短いゲームながらもマルチエンドを採用しており、3種類のエンディングが用意されています。

しかし、これらへの分岐点がとても分かりづらいのは、不親切だと感じました。

どこでどのアイテムを使うかで展開が変化しますが、私は一度クリアした後、いつ分岐したのかが全く分かりませんでした。
そもそもエンディングが複数あることに気づかない人が出てきてもおかしくないほど、ヒントも演出も何もない。

チャートを用意しろとは言いませんが、エンディング後に何かヒントメッセージを出すだけでも、ずっとプレイヤーに優しい作品になると思います。
もっとも、分岐しても大きな変化は特にないのですが…

ホラー要素ゼロ。雰囲気すらも感じない。

本作は公式サイトにホラーアドベンチャーと謳われており、ストアでのジャケット画像もホラー寄りなため、怖さを求めている方も多いでしょう。

断言します。ホラーを求めて本作を遊んではいけません。

まずドット絵が粗すぎて視覚的に怖いものは皆無。
ゲーム全体を通して”明るさ”が強く、BGMも無し、もしくはのんきな曲であるため、雰囲気も出ていません。
あまり怖がらせようという意思を感じない内容



ゲームのテーマに「死」が絡んでおり、不気味というか謎だらけのビジュアルのキャラクターが登場するため、ホラーアドベンチャーと位置付けたのでしょうか

そもそも主人公が少女ながらも、なかなか胆力のある姉御肌
物怖じせずに「家に帰るぞ!」とドンドン夢の世界を突き進んでいきます。
プレイヤーの分身が全く怖がっていないのでは、やはり遊ぶこちらも怖くなりません。

ホラーを求めて本作を遊んではいけません。

終わりに

期待していたものには到底及ばなかった作品。
ホラーとしてもアドベンチャーとしても及第点にも達しない出来栄えで、それゆえにメッセージを伝える力も弱い
不満の多い作品でした。

とはいえ、タイトル通り”奇妙”なゲームと言えば、確かにそれは間違いない作品。
あっという間にクリアできるので、イロモノを何か一本…と探している方には、オススメできないこともありません。

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