「モノを壊す」というのは、良いストレス解消になるのだそう。
言われてみれば確かに「いろはす」のペットボトルをペシャンコにしたりするのって、けっこう気持ちいいですよね。
「Ape out」は、プレイヤーにそんな“ハカイのカイカン”をもたらす2Dアクション。
値段相応のボリューム、深みであるため、もって半日の内容です。
しかしリトライ前提の難易度を、ハカイによって突破したときの快感はなかなかのもの。
クイックリトライで何度も挑戦するタイプのアクションが好きな方に、オススメしたい一本です。
タイトル | Ape Out(エイプアウト) |
ジャンル | 2Dアクション |
対応機種 | steam、Switch |
価格 | 1500円 |
プレイ時間の目安 | 3~5時間 |
判定 | 準良作 |
総評
「Ape Out」はApe=ゴリラを操作し、施設からの脱出を目指す2Dアクションです。
ワンミスでゲームオーバーの難易度と、ワンボタンでブチ〇す“やるかやられるか”のアクションがキモ。
それを支える素早いリトライと、挑むたびに少しずつ変化するステージ構成とエネミー配置。
加えて、そこら中に“人間だったもの”がブチ撒けられるバイオレンスなビジュアルが印象的です。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7lVcAEh8GW.jpg)
自分と敵。
どちらもワンアクションが死につながるスリルある内容。
更に、“破壊の快感”でもって、プレイヤーを没入させてくれる作品だと感じました。
捕まっているゴリラが、檻を破壊して逃走することからゲームがスタートします。
マップ端にある出口まで到達すれば、ステージクリア。
その道中には、銃を持ったニンゲンがそこかしこに配置されています。
ゴリラにとって、銃による攻撃は致命的です。
耐えても2発。
至近距離でショットガンなどを受けた場合は、一撃でダウン。
ゲームオーバーです。
もちろんゴリラも、ただ逃げるだけではありません。
銃は苦手でも、いざ近距離戦になれば、その腕力が無類の強さを見せてくれます。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_OwTFVIAYqlmC.jpg)
Rボタンで出すゴリラパンチを食らったニンゲンは、大きく吹き飛びます。
その勢いで壁に激突させてやれば、体は一瞬で飛び散り、血と肉片しか残りません。
見つかる前に接近し、撃たれる前にブン殴りましょう。
そうして奴らを掃除しているうちに、ゴールにたどり着いています。
それでも敵は徒党を組んでいるため、苦しい場面は多い。
何度もゲームオーバーになる難しさです。
しかし素早いリトライが可能であるため、ストレスはたまりづらい。
また遊ぶたびに障害物、敵の配置がやや変化するのも、本作の特徴です。
そのため攻略には、アドリブや勢いも重要。
ウダウダと考える必要は無し。
どんどん再挑戦しましょう。
やるもやられるも一瞬の難易度とクイックリトライによる、途切れのないゲーム展開。
あっという間にゲームオーバーになることもあれば、驚くほどスムーズに進むこともあります。
ランダム性があるゆえに毎回結果が変わるため、何度でも遊んでしまう魅力を持っていると感じました。
しかし本作の良い点は、実はこれだけではありません
特筆したいのは、以下の2点。
マップ中が血だまりと“人間の破片”だらけになるバイオレンスなビジュアル。
プレイヤーを鼓舞するような、民族音楽的BGM。
これがプレイヤーに、破壊の快感をもたらしてくれるのです。(詳細は詳しいレビューにて。)
一方で、深みとボリュームは値段相応であるとも感じました。
できることも、やるべきこともシンプルな本作。
低い敷居と高い没入を実現しています。しかしクリアまではせいぜい3~5時間。
難易度をあげたモードも用意してありますが、そう何度も遊びたくなる内容ではないと感じました。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7lVcAEh8GW.jpg)
シンプルな操作と、シビアな難易度は、クリアするまでやめられない魅力を持っています。
更にバイオレンスなビジュアル表現と民族音楽のようなBGMが、数えきれないほど破壊し、また破壊される本作への没入感を高めます。
短いゲームですが瞬間風速があり、印象に残る一本でした。
遊び応えは値段相応。
あまり緻密に腕を磨くゲームでもないため、精度を求める繊細なアクションを好むプレイヤーには合わないかもしれません
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詳しいレビュー
撃たれる前に、殴れ。
本作に、物語らしい物語はありません。
ゴリラはなぜか人間に捕まっており、脱出を目指します。
しかし出口までの道のりには、ゴリラ一匹には過剰な数のニンゲンが待ち構えています。
奴らはみな銃を持ち、ゴリラを仕留めようとしています。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og8YVIAAfSVR.jpg)
とはいえ、何も心配はいりません。
ゴリラの腕力の前には、ニンゲンなどあまりに非力であるからです。
ボタンをチョンと押して、その丸太のように太い腕でぶん殴ってやりましょう。
するとニンゲンは、ゴムまりのごとく吹き飛びます。
その勢いで壁に激突させてやれば、奴ら血だまりと肉片を残して飛び散るでしょう。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7hVcAE5PaQ.jpg)
Lボタンで「掴み」をキメるのも有効です。
こちらがボタンを離さない限り、奴らが助かることはありません。
そのまま引きずって盾にすれば、この暴力的なゲームの中に、一瞬の“防御”が生まれます。
もちろん、放り投げてニンゲンビリヤードを楽しむもよいでしょう。
玉がすぐに砕け散ってしまうため、全くゲームにならないのが難点ですが。
ゴリラにとって、ニンゲンなど敵ではありません。
マップの端にある出口に到達すれば、ステージクリアです。
蹴散らしながら進みましょう。
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とても強いゴリラ。
ですが、一つだけ警戒しなくてはいけないものがあります。
それは奴らが携帯している“銃”です。
ゴリラと言えど、銃を相手に生身での逃走劇は命がけ。
ピストルから放たれる鉛玉の速度は、時速にして数100キロにもなるのだとか。
それに当たれば、ひとたまりもありません。
ゴリラは3発も撃たれればダウンします。そしてゲームオーバー。
もちろん、ステージの最初からやり直しです。
敵の数が多い上に、ほんの少しのミスがゲームオーバーにつながります。
そのため、やや難しく感じられるかもしれません。
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でも大丈夫。必ず脱出できます。
なぜなら本作はリトライ時のロードが短く、またやり直すたびに障害物やニンゲンの配置がやや変化するためです。
何度失敗しようが素早く再挑戦できるので、やり直しのストレスはたまりづらい。
また配置によって難易度も変わりますから、次はあっさりクリアできるかもしれません。
何度倒れても、もう一度…と遊びたくなる作品なのです。
完全ではないものの、ランダム性があるぶん、細々した暗記や戦略は効果が薄いです。
勢い、アドリブが重要な機会が多いため、あまり考えすぎずにガンガン再挑戦しましょう。
シビアな難易度を感じる本作。
苦しい場面も少なくないのですが、だからこそ突破できると楽しくなってくる。
拳で語ることしかできぬゴリラを操作する、暴力的2Dアクションゲーム。
それが「Ape Out」なのです。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7rVQAAyXZC.jpg)
あなたが味わう、キケンな快感。
やるかやられるかのシビアなアクション
難しいからこそ突破した時は気持ちが良く、リトライも素早いため、何度でも挑戦したくなる本作。
しかし、本作はもう一つ、ある快感でプレイヤーを楽しませてくれます。
それはキケンな、破壊の快感。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7hVcAE5PaQ.jpg)
本作は抽象的なビジュアル表現がされた作品です。
そんな世界でひときわ目を引くのが、真っ赤な血だまりと、ポツポツと残る、体の破片です。
ゴリラに殴られたニンゲンは吹き飛び、そのまま壁に激突すると一撃で絶命します。
後に残るのは、ブチ撒けられた血液と、腕や下半身などの“破片”のみ。
ゴリラがその剛腕をふるう度に、グチャリ、またグチャリと奴らは飛び散っていきます。
残虐ではありますが、この思いきったバイオレンス表現を、気持ちいいと感じてしまう自分がいました。
歯向かうニンゲンどもを次から次へと、物言わぬ存在へと変えてゆく。
この瞬間は、サディスティックな快感をプレイヤーにもたらします。
本作の大きな魅力であると感じました。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7rVQAAyXZC.jpg)
……ただ誤解しないでいただきたいのは、本作がもたらす気持ちよさは、あくまで“破壊の気持ちよさ”だということです。
決して、人を〇すことを楽しむゲームではありません。
というのも本作は見た目に反して、惨たらしさは驚くほど感じないゲームになっています。
血と破片こそ残っても、ニンゲンが苦しみながら命を落とす描写はいっさいありません。
風船でも割れたかのように、パンと消えます。
雪だるまに蹴りを入れたり、砂山を踏みつぶしたりするような…破壊の快感を味わえる作品です。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7hVcAE5PaQ.jpg)
更に本作は、BGMでもこの破壊を盛り上げてくれます。
本作のBGMにはメロディーがありません。
ドラムやシンバルなど、打楽器の音のみで構築されており、これには民族音楽のような雰囲気を感じました。
プレイヤーが行動し、奴らを葬る度に音楽は盛り上がっていきます。
とはいえサビはなく、流行りの電子音も聞こえません。
焚火を囲んで、動物の皮を張った太鼓を打ち鳴らすような、そんな野生の音楽です。
野生の力を振るう本作には、こんな音楽がマッチしています。
子供のころのように、破壊の快感を味わうプレイヤー。
それを更に鼓舞するものだと感じました。
嵐のような破壊を盛り上げる、バイオレンスなビジュアルと、野生の音楽。
これがもたらすサディスティックな気持ちよさは、キケンですが、本作の大きな魅力です。
遊び応えは、値段相応
良い魅力をもった本作ですが、値段以上の体験を求めてはいけません。
1500円のわりにはボリュームは少なめ(通常クリアで3~5時間)。
またアクションはシンプルなぶん底も浅いため、難しいゲームなのにプレイ感覚はあっさりしています。
ステージにいくらかのランダム性があり、アドリブが大切なぶん、その場の判断と運がモノを言う部分が大きく、深い駆け引きが楽しめるとは言えません。
![](https://otateki-output.com/wp-content/uploads/2022/01/FH_Og7lVcAEh8GW.jpg)
終わりに
あなたの中に眠る破壊の快感を、呼び覚ますかもしれない本作。
クリアするだけなら半日の内容であることは、踏まえておいた方が良いでしょう。
それでも、本作がもたらす気持ちよさは、一度は味わう価値のあるものです。
死にゲーらしいシビアな難易度と、それを破壊し突破する快感は、きっとプレイヤーの印象に残るだろうと思います。
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