【本の感想まとめ】陰キャは絶対に読んではいけない劇薬「ナイルパーチの女子会」など3冊

本の感想
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以前から書きたいと思っていた本の感想を始めます。

このブログのメインはゲーム、アニメとしたいので、あくまでサブカテゴリとして。
自分自身が読んだ本を忘れないための、備忘録として書く側面も強いです。

月に1回程度、一度に3冊くらいを目安に書いてく予定です。

今回は

・TUGUMI / よしもとばなな
・ナイルパーチの女子会 / 柚木 麻子
・声優魂 / 大塚明夫

この3冊です。

・TUGUMI / よしもとばなな

よしもとばななの文章が好きです。
風景や心情の中にある、誰もが美しいと感じるんだけど、うまく言葉にできないもの。
それをリアルに、目に浮かぶように色鮮やかに切りとる…

普段レビューを書いていると、「これをどうやって言葉にしようか?」と悩む場面はとても多い
いや、むしろそれとの戦いみたいなものです。

そんな時、理想として思い浮かべるのはよしもとばななの文章
あんな風に、他に誰にもできない表現で、でも誰もが感じることを言葉にできたらな…と。

「TUGIMI」は実は10代の頃に一度読んでいます
しかし改めて読んで、その文章の美しさに感動しました。

夕方、暮れてゆく湾を見通す。浜辺の高い堤防を、つぐみと男の子が歩いてゆく。夕空には鳥がひくく舞い飛び、波音がきらめきながら静かに寄せてくる。走り回る犬しかいなくなった浜は、砂漠のように広く白く横たわり、いくつものボートが風にさらされている。遠くに島影がかすみ、雲がうっすらと赤く輝いて海の彼方へしずんでゆく。
つぐみは、ゆっくり、ゆっくり歩く。


「TUGUMI」 吉本ばなな 中公文庫

全く見開き1ページに一つはグッとくる文章があり、この引用はほんの一例です。

太陽が沈んでゆく海って誰だって美しいと思う。だからこそ独自の表現で言葉にするって難しい。
ゆっくり流れる時間と、そこにある風景の美しさを、言葉だけでこんなにも鮮やかに切り取れたら…そう思わずにはいられません。

「TUGUMI」の世界に生きる登場人物たちが羨ましい。
多分、また読みたくなるんだろうな。

ナイルパーチの女子会 / 柚木麻子

読んでいて頭がおかしくなるかと思った。

ネットを通して、普通に生きていれば出会うはずのなかった二人が出会い、それをきっかけに何もかもが崩れていく物語。

「ナイルパーチ」ってのは食用によく使われている魚の名前。
よく売れるからってんである湖に放流したら、これがとんでもなく凶暴な魚で、湖に元々住んでいた固有種をどんどん絶滅させてしまったそうです。
今や「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれてしまったナイルパーチ
でも、彼だって湖に放り込まれなければ、自分がこんなに凶暴だって気づかなかったのにね…



SNSにより、本来出会うはずのなかった人たちが出会う、それが当たり前になった現代。
普通に生きていれば知り合うこともなかったであろう人たちが知り合う、それによって何が起こるんでしょうか。

そうして生まれる歪みを、吐き気がするレベルで生々しく描いている一冊
なんだか「お前のこと書いてんだぞ」と言われてるような気がしてくる。
読んでいて本当につらかったです。

私と同じ「陰キャ」な人たちは、この本を読むなら覚悟した方がいい。
効きますよ。

声優魂 / 大塚明夫

「声優になりたい」奴はバカである。


「声優魂」 大塚明夫 星海社新書

第一章のタイトルからしてこれです。

言ってしまえば「夢だけ見て声優目指すのはやめろ」っていう話で、それは私たちも分かっています。
あの売れっ子のようになれるのは本当にごく一部で、大半の人は「子供A」とか、それくらいの役を貰えるかどうかで声優をやめていく。
そんなことは芸人だってスポーツ選手だってユーチューバーだって同じです。

それでも諦めたくない。夢を本気で追いかけたい。
一度きりの人生。やらないで後悔するなんてイヤだ。始める前から諦めるなんてカッコ悪い。

そう思って声優を目指すバカに、大塚明夫が本気の言葉で、きっぱりと、声優を諦めさせようとする一冊。


大塚明夫いわく、声優というのは職業ではなく生き方である
それを目指した時点で、食っていけるだけの収入とか、幸せな家庭とか、そんなものは関係ない。
だって演じるってのは職業じゃないから。何一つ保障されていない。

それでも演じたい。自分にはこの生き方しかない…!
と思っているあなたも、それは勘違いなので回れ右して普通の社会に戻りなさい。

大塚明夫の声優を目指す若者へのメッセージであるとともに、熱い仕事論でもある一冊。
最後は結局「夢をあきらめるな!」っていうんでしょ?と思って読んだのですが、そんなことはありませんでした。
とにかく、声優なんてなるな。やめろ。まっとうな人生に戻れ。
ここは他に行く場所がない。この生き方しかできないやつだけが来る場所だ。

声優魂、確かに感じました。

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