酷評を公開するのは、正直言って怖いです。
自分は的外れなことを言っているんじゃないか?と不安になります。
このゲームを好きな人から、怒りを買うんじゃないか?と心配になります。
それでも、「クロカミサマの晩餐」は、酷評せざるを得ない作品です。
シナリオもゲーム性も極めて淡泊。何の味もしません。
ロープライスを考慮しても空虚。
何を見どころとして開発したのかが、全く伝わってこない作品でした。
当然、オススメできません。
タイトル | クロカミサマの晩餐 |
ジャンル | ADV(ノベル) |
対応機種 | Steam |
価格 | 1400円 |
プレイ時間の目安 | 3~5時間 |
備考 | Switchでも配信予定 |
総評
とても残念なゲームでした。
シナリオ、ゲーム部分。
どちらにも褒められる点は見当たりません。
シナリオは終始、山も谷もなく進みます。
キャラクター描写、驚き、意外性などは何もなく、実に淡泊で印象に残らない。
ならばとゲーム性を見てみれば、こちらも深み、面白みなど何も感じません。
多少、どの選択肢が最適解か?を探る試行錯誤があります。
しかしこれもセーブ&ロードであっけなく正解が見つかる上、分岐による変化も小さいため、面白くない。
空虚さばかりが残ります。
何か評価点をあげるとすれば、CG、キャラクターデザインです。
プロが手掛けているだけあって、ロープライスでありながら十分なクオリティです。
が、無料のスマートフォン向けアプリですら、高品質なCGイラスト、力の入ったデザインのキャラクターなどいくらでも見られる時代です。
作品のウリにするには物足りません。
そもそもCGの枚数が少ない上、回想なども存在しないため、あろうことか自由に見ることもできません。
マルチエンドなのにエンディングリストが用意されておらず、コンプリートできたかどうかが全く分からないのも気になります
最適な選択をセーブ&ロードで探り、シナリオ進行、あるいはより良いエンディングを目指す。
そんなオーソドックスなADVであるため、入門用には良いのかもしれません。
そもそも、入門だとか応用だとかでわける必要のないジャンルですが…
面白さに期待してはいけません。
シナリオ、ゲーム性、どちらも見るべき点が何もない。
1400円という値段を考慮しても、あまりに空虚な作品です。
駄作と言われても、仕方のない出来です。
本作はいったい、プレイヤーに何を楽しんでほしかったのでしょうか
詳しいレビュー
空虚。山も谷もない淡泊なシナリオ
本作のシナリオは、驚くほど空虚です。
そもそも、プレイヤーを引き付ける、楽しませるシナリオにしようという意思を感じません。
本作は公式サイトで「ホラーアドベンチャー」と位置付けられています。
が、プレイ中怖いと感じるシーンは一度もありませんでした。
ごく短い怪談、都市伝説は多く挿入されます。
しかしいずれも、生きていれば一度は耳にする内容(口裂け女など)ばかりで、演出もろくにされないため、恐怖など微塵も感じません。
ホラーを抜きにしても、良いと感じる点は全くありませんでした。
キャラクターの掘り下げ、伏線を使った引き、印象的なエピソードなど、物語を盛り上げる要素は何もなし。
目の前の出来事に淡々と対処し、ナゾや引っ掛かりを一切残さず、さらりとエンディングを迎えて終わっていきます。
プレイヤーの行動により、エンディングがいくつかのパターンに分岐します。
とはいえ、本当に最後が変わるのみで、そもそもエンディングまでが面白くないため、分岐を確認したいとすら思えません。
山も無し。谷も無し。ナゾも引っ掛かりも、盛り上がりもなし。
面白い、つまらない以前に、何の味もしないシナリオです。
せっかくの魅力的なデザインのキャラクターなのですから、掘り下げるエピソードがほしい。
伏線や意外性を持った展開で、プレイヤーを引っ張ってほしかったです。
虚無。深みのないゲーム部分
本作はノベルゲームですが、いくらかのゲーム性を持たせてあります。
複数ある行先の中から、一つを選択。
その先で怪異と遭遇した場合、選択肢によるバトルが発生します。
勝利すれば、食材を入手。
これを多く集めるのが目的です。
どこに行けば良いかのヒントは提示されるものの、全て教えてくれるわけではありません。
ハズレを引くとバトルが起こらず、食材も入手できず。
行動回数には限りがあり、その中で一定以上の食材を集められないと……
このように、どの選択肢が正解か?をセーブ&ロードで探り、よりよい結果、あるいは物語の分岐を楽しむのが本作のゲーム部分です。
特に行き先の選択肢が多いため、初見ではハズレを引くことも多々。
繰り返しのプレイで、より最適な行動を見極めていく必要があります。
が、これもすぐに底が見えてきます。
いつでもセーブ&ロードが可能で、ハズレを引いた場合はすぐに分かるため、最適解はあっさりと見つかります。
選択肢による変化も、その場だけの単発的なもので、大筋に影響を与えることはほとんどありません。
そのため、あえてハズレを踏み、分岐先をのぞくような楽しみも無し。
結局、選ぶ前にセーブをしておき、ダメならロードしてやり直すだけで十分。
シナリオが変化する面白さも、頭をひねって最適な行動を組み立てる深みもありません。
選択肢によって多様なパターンに分岐させるなどし、正解探しではなく、変化を楽しむゲーム内容であったら良かったのではと思います。
終わりに
シナリオがあまりに淡泊であるため、本作はゲーム部分を重視したのだと思いました。
しかしゲーム部分も、ADVでは使い古された作り。
そこに新しさも面白さも、攻略を考える深みなども感じられません。
いったい本作は、何をプレイヤーに楽しんでほしかったのでしょうか。
Switch版の配信も予定されています。
到底オススメできないことは、言うまでもありません。
テキストADVファンによる、テキストADVファンのための、オリジナル雑誌“風”記事。
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