私がギャルゲーを遊ぶ際にもっとも重視している点の一つが「ヒロインに興味を持たせてくれるか?」です。
ヒロインに興味を持ち、もっと知りたいと思えないと、前のめりになって遊ぶことができませんから。
「月の彼方で逢いましょう」は、そのようなプレイヤーに興味を持たせる力が弱い作品でした。
それでいて日常シーンはかなり尺があり、冗長です。
物語の設定は面白いのに、長すぎる日常がそれを薄めてしまっているように感じられました。
タイトル | 月の彼方で逢いましょう |
ジャンル | ADV(ギャルゲー) |
対応機種 | Switch、PS4 |
価格 | 通常版 8228円 DL版 7810円 |
プレイ時間の目安 | 35時間 |
総評
「面白い話」を求めると、まずガッカリさせられる内容です。
キャラクターにもシナリオにも、プレイヤーの興味を引く力がありません。
それでいて、日常シーンは長すぎると感じるほどボリュームを持たせてあります。
刺激はなくとも、ただ繰り返される日常は、確かに大切であるかもしれません。
しかし物語としては面白くない。
また、パッケージ裏にもある「未来と過去をスマホで繋げる」という設定も、想像とは違った使われ方をしており、不満を感じます。
全てのルートが面白くなかったとは言いません。
あるヒロインのルートだけは設定を存分に活用し、またシナリオにもキャラクターにも興味を持たせてくれる内容でした。
このようなルートがそろっていれば、本作への評価は全く違うものになっていました。
「面白い話」を期待してはいけません。
甘く平和ですが、ただそれだけの日常シーンの描写が多め。
そのため量だけはある、薄めすぎたジュースのような印象を抱きました。
「過去を未来をスマホで繋げる」という設定…物語の原液は良いだけに、惜しい作品です。
詳しいレビュー
キャラにもシナリオにも、興味を持てない
本作のまず気になった点。
それはキャラクターもシナリオも、プレイヤーの興味を引く力を持っていないことです。
シナリオは全体を通して引きが弱く、先の展開に興味を持てません。
日常が延々と描かれ、いつまで続くのやらと思わされます。
ヒロインはみな可愛い。しかし可愛いだけです。
なぜ?と思わせるような行動、言動がほとんどない。
もっと知りたいと思わせるだけの魅力を持っていません。
たまに“引き”があったかと思えば、すぐに種明かしされてしまうことが多いです。
その後はまた日常。
日常を描くなとは言いません。
しかしこれは物語なのですから、先の展開への興味を持たせてほしかったです。
想像とは違った「過去の自分とスマホで繋がる」設定
本作はパッケージ裏にも「過去の自分とスマホで繋がる」という、物語の軸となる設定について語られています。
実際、主人公はとある出来事がきっかけで、メッセージアプリで過去の自分と繋がります。
しかしこの設定、想像とは違った使われ方をしており、悪い意味で驚きました。
というのも、そもそも過去と繋がるルートが7ルート中3ルートのみ。
残り4ルートはエンディングが用意されたサブヒロインという位置づけです。
その3ルートですら、うち2ルートはエンディング間際になってようやく過去と繋がる展開に突入します。
魅力的な物語を予感させる、本作の設定。
これはパッケージ、OPムービーでも押し出されています。
そのため、私は物語の軸として使われているのかと想像していました。
しかしそうではありませんでした。
7ルート中4ルートはそもそも過去と繋がらず、残り3ルート中の2ルートも終わり際にようやく…なのです。
私の思い違いもあるため、欠点とまでは言いません。
ただ、これには落胆させられました。
1ルートだけ、例外あり
否定的な話ばかり書いてきました。
しかし7ルート中1ルートだけ、上記の事柄に当てはまらない“面白い話”があったことを、ここで強調しておきます。
そのルートではナゾ多きヒロインに惹かれ、物語の展開が気になり、過去と現在の邂逅から始まる本作ならではのシナリオを楽しむことができました。
どのヒロインのルートであるかは、伏せておきます。
他のヒロインのルートもこのような内容であれば、本作への評価は大きく変わっていました。
終わりに
面白い話を期待しすぎずに。
強い伏線もなく、日常を描くシーンが長く続きます。
「過去の自分と繋がる」という根本の設定。物語の原液こそ光るものの、薄めすぎてしまった印象です。
ただ繰り返しますが、あるヒロインのルートだけは例外です。
そのためだけに遊ぶのは難しいでしょうが…
もし手に取るならば、ぜひ注目してほしいポイントです。
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