B級は、時にどんな高級品よりも魅力的に見えるものです。
決して洗練されているわけではない。莫大なカネがかけられているわけでもない。
しかし、だからこそ生まれる大衆感。
休日の昼下がり、ブラッと寄って心を落ち着けられるような、そんな親しみやすさ。
今回レビューする「廃深」は、正にB級という言葉がぴったりな作品でした。
怖さはそこそこながらもお約束をしっかりおさえたホラー要素と、サービス精神満点なお色気要素。
どちらも最先端とは言えません。
しかしこのゲームへの期待にしっかり応えるもので、遊び終えてみると満足感があります。
一方でやや作りの甘い点が目立ち、遊びとしてもB級になってしまっていると感じました。
良くも悪くも期待を裏切らないので、あまり求めすぎずにプレイするといい作品です。
タイトル | 廃深(はいしん) |
ジャンル | ホラーアクションADV |
対応機種 | Switch、Steam |
価格 | 2280円 |
プレイ時間の目安 | 3~5時間 |
総評
本作はホラー2Dアクションアドベンチャーです。
動画を撮影するために廃墟を訪れた3人の美少女が、謎の着ぐるみに襲われるところから物語はスタート。
探索しアイテムを集め、廃墟からの脱出を目指します。
グラフィックとサウンドの品質は十分で、廃墟の雰囲気はよく出ています。
血濡れの鉈を振り回す着ぐるみが徘徊する廃ホテル。
スマホのか細い明りだけを頼りに探索する心細さは、プレイヤーの恐怖心を掻き立てます。

はっきり言ってしまえばストーリーは平凡で、ゲームとしても難易度は低い。
しかしとにかく神出鬼没な怖さ(詳細は後述)があり、コンパクトにまとまっているため退屈せずに遊びきることができました。
キャストは山崎はるか、西明日香、松田颯水と演技力のあるメンバー
そのためこの手のホラーによくある「演技で興ざめ…」なんてこともありません。
お色気要素もふんだんに盛り込まれており、特にイベントCGでは必ずパンツもしくは谷間が見えると言っても過言ではない。
うっかり手が滑っておっぱいやお尻にタッチすると反応があるなど、下らないお約束も抑えてあるのは好印象です。
乾和音氏の描く、柔らかいタッチながらも出るところの出たキャラクターは三者三様の魅力があります。
低価格のDLタイトルで、しかもお色気要素が前面に…と、なかなか危険な香りもする本作。
ですが遊んでみると、意外なほどチープさは感じません。
値段分の体験は楽しめるゲームです。

その一方で、全体的にプレイヤーに対する親切さが足りないとも感じました。
わかりづらい物語の分岐点、探索の不便さ
セーブする場面に寄っては「詰み」に陥るとの報告もあるのに、スロットが少ないなど。
細かいところに、完成度の下がってしまうポイントがあります。
低価格タイトルとして、こちらが求めているものはしっかり得られる作品です。
B級ホラー×お色気ゲーを気軽に楽しみたい方にオススメ。
どちらも手抜き感はなく、それでいて行き過ぎていない作品なので、実況動画のネタを探している方にもオススメできます。
ゲームとしての完成度を求めている方には、オススメできません。
ガッツリ「パンモロ」するCGもあるため、家族の前でゲームを遊んでいる方も注意が必要です。

詳しいレビュー
神出鬼没すぎる「着ぐるみ」の恐怖
本作は鉈を振り回す着ぐるみから逃れ、廃墟の外への脱出を目指すゲームです。
着ぐるみは探索中はランダムに出現する仕様で、攻撃を受けると即ゲームオーバー。
オートセーブはなく、前回のセーブポイントまで戻されてしまいます。
とは言え着ぐるみの攻撃はガバガバ、移動速度も遅いため、走って逃げればまず捕まることはありません。
更に隠れてしまえば絶対に見つからないので、ホラーゲームのエネミーとしては弱すぎると感じました。
しかし、それでも、着ぐるみは最後まで怖い存在でした。
その理由は、あまりにも神出鬼没すぎるからです。

着ぐるみの出現は前述の通りランダムで、一部を除いて常に、どこにでも現れる可能性があります
そのランダムっぷりは神出鬼没としか言いようがない。
時には目の前や背後に、何の予告もなく突然出現することもあるほど。
何もない空間から出現するのは、さすがにリアリティがありません。
しかしこれが本作に良い緊張を生み、ゲームへの没入感を高めるポイントになっています。
いざ出現しても回避は容易です。
ですが操作ミスでもして攻撃を受ければ、前回のセーブポイントまで戻されてしまう。
そのためプレイヤーはいつ何時でも気を抜かず、セーブもこまめにしておく必要が出てきます。
この神出鬼没な着ぐるみがいるからこそ、本作をホラーとして最後まで楽しむことができます。
決して難しいゲームではありません。
それなのにどこか落ち着かない。次の瞬間にもアイツが目の前に現れるんじゃないかと身構えてしまう。
良いスパイスになっている仕様だと感じました。
これぞ本懐。見えまくりなイベントCG。
本作は、お色気要素にも手を抜いていません。
2Dですがグラフィックはよく描きこまれており、乾和音(いぬいわおん)氏の描いたキャラクターがそのまま動くと言ってもいいほど。
もちろん背景の描き込みも十分で、廃墟探索のムードを盛り上げてくれます。
舞台がホテルなので、終始風景の代わり映えがないのが難点ですが。
そして、そのグラフィックが存分に活かされているのは、随所で挿入されるイベントCGです。

恐怖の着ぐるみが徘徊する廃ホテル
しかし、怖いのはそれだけではありません
様々な怪異に襲われ、時に命の危険に曝されることもある主人公たち。
そんなゲームの盛り上がりどころでは、クオリティの高いイベントCGが用意されています。
このイベントCG、とにかく、見えています。見えまくりです。ミエミエの実の全身見え見え人間です。
一部見えない子もいますが、そのぶんおっぱいがデカいです。
もちろんプレイヤーの目的は、見えているものを見ることではありません。
カーソルを動かし、タッチすべきところにタッチし、アイテムの力も借りて窮地を脱出します。

戦乱の世から幾百の年月が過ぎされど、我ら日本男子の心の奥底には武士(もののふ)の魂が眠っています。
今こそ、それを呼び覚ます時。
さぁ、タッチすべきところにタッチし、女の子たちを救いましょう。
彼女の命は、アナタのエッ……タッチにかかっています。
このイベントCG、タッチこそ、本作の本懐なのです。
煩雑な探索、アイテムの仕様
本作はプレイヤーに対して、親切さが足りないポイントがいくつかあります。
その中でも、もっとも気になったのは探索時におけるアイテムの仕様です。
様々なアイテムを回収、活用してナゾを解き、脱出を目指す本作。
主に探索の中でアイテムを入手していくのですが、ある仕様がこれを面倒くさいものにしてしまっています。
というのも本作、
一度探索した部屋でも、ゲームを進めて戻ってくると新たにアイテムが見つかることがある
という仕様なのです。
しっかり隅まで探索済みでも、ある程度ゲームが進むと新しいアイテムが落ちていたりする。
この仕様が厄介なのは、必要なアイテムが足りずに進行に詰まってしまった時です。

ゲームを進めるとアイテムが出現する以上、どの部屋も探索済みと断定できません。
一度見た部屋でも新たに出現している可能性があるため、分からなくなってしまったら全ての部屋を見て回る必要が出てきます。
マップはあまり広くありません。
しかし主人公の移動速度も遅いため、あてもなく歩き回るのは大変です。
その間は前述の着ぐるみに襲われる可能性もつきまといますので、ますます面倒。
手取り足取りナビゲートしろ!とは言いません。
任意でのぞける目的地表示や、あるいは未探索の部屋は全体マップで赤く表示される…など、何かしら道しるべとなるものが欲しかったです。

分かりづらいバッドエンドへの分岐点
本作はマルチエンドを採用しており、トゥルー以外にも複数のバッドエンドが用意されています。
その内容は、ホラーでは使い古されていながらもゾッとするもので、一見の価値あり。
しかし、そこへの分岐点が分かりづらすぎると感じました。
・特定の行動をせずに進める
・逆に、特定の行動をしてしまう
などで分岐するのですが、分岐した瞬間にバッドエンドが始まるわけではありません。
ある程度進めると突然エンディングに入り、やり直す場合は前回のセーブポイントから。
私も数回踏みましたが、何がトリガーになってバッドエンドに入ったのかが理解できず。
次はどうすればいいのかが、分からなくなってしまうことがありました。
また分岐の要因も意外なところにあるため、分からなくなってしまうと抜け出せなくなる恐れもあります。
もうすこし、プレイヤーを誘導する要素があっても良かったと感じます。

終わりに
以上、「廃深」のレビューでした
ファミ通で知ってから気になっていた本作、作りの甘さを感じる点もありましたが、第一印象から求めていたものは得られるゲームでした。
100点満点のゲームではありません。
しかし値段分の満足感はあるので、週末の一本に選んでみてはいかがでしょうか。

このゲームもオススメ
本作と同タイプのゲームとして、↓の作品もオススメです。
台湾産のホラーADV「返校」
本作よりもかなりホラー色が強く、低価格ながらも完成度の高いタイトル。
ゲームとしても面白いモノを遊びたい!という方にオススメします。