【Twelve Minutes】感想 傑作ADV。惨劇のループから、脱出せよ。

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タイトルTwelve Minutes(トゥエルブ ミニッツ)
ジャンル脱出ADV
対応機種PCXbox Series S|X
価格2970円
プレイ時間の目安5時間
備考日本語字幕対応

Twelve Minutes」は2D見下ろし視点の、脱出アドベンチャーゲームだ。

…と紹介するのが正しいのかわからないけれど、自分はそう思った。

ただこのゲームの大きな特徴で、またもっともユニークな点は、主人公が閉じ込められるのが部屋じゃないこと。
彼が放り込まれるのは、ループする時間。

繰り返す時間からの脱出を目指すアドベンチャーゲームってワケ。

なぜか殺され、なぜかループする

主人公はごく普通の男性。
ある夜仕事から帰り、1LDKの住まいで妻とくつろいでいると、そこに警察を名乗る男が訪ねてくる。
男は強引に部屋に上がり込む。
やがて主人公は、彼に首を絞められて殺されてしまう。

苦しい、もうダメだ。

殺されたと思った主人公が目を覚ますと、なぜか部屋の入口に立っている。
そこで主人公は気づく。
部屋に帰ってきてから男に殺されるまでの時間が、ループしていることに。

謎の男に殺される主人公

狭い部屋の中に、脱出のカギはある

とても面白いゲームだった。

仕込まれている遊びはシンプル。
アイテムを拾い、使ったり組み合わせたり、あるいは妻に渡したりしながら、時間からの脱出を目指す。

と言っても1LDKの狭いマップ内に配置されたモノは、アイテムと呼んでいいのかもわからないくらい実に平凡。
ろくな使い道が見えない。
スプーン、ナイフ、冷蔵庫に貼られた写真、携帯電話、マグカップ…

こんなものでどうやって…?と、戸惑った。

マグカップでどうしろと?


携帯電話で警察に連絡してみたら?
ナイフで男に抵抗してみるか
カギをかけて籠城してみよう
男が来ると分かっているんだから、その前に逃げればいいじゃないか


そうして思いつく限りの行動を試すうち、やがて気づかされる。
これじゃダメだ。このゲームはそんなに単純じゃない。

もっと違う何かが、この部屋にはあるんだ…と。


繰り返す時間からの脱出法なんて、ふつう見当もつかない。
でもこうしてゲームなっているんだから、このありふれた生活空間の中に、何かがあるはずなんだ。
そう思って探索を始めると、もう止められない。




本作はループ開始から巻き戻りまでが10分程度。
プレイヤーが試行錯誤して行動→結果が出るまでが、短い時間の中で何度も繰り返される。
これがプレイヤーのチャンレンジを促す。熱中させる。

何の意味もなさそうな行動にも、実は何かあるのかもしれない。
あれは? それは? こうしたらどうなる?
気が付けば「Twelve Minutes」から、プレイヤー自身も抜けられなくなっている。


だが、抜け出せない。何をやってもループする。
この延々と繰り返す時間は、やがてアナタの恐ろしい一面すら炙り出すかもしれない。

ループの度に蓄積される知識

脱出ゲームは、これまで何本か遊んだことがある。
「Twelve Minutes」もやってることは近いと思う。
だがその熱中度は桁違いだった。
プレイヤーの行動が知識として蓄積され、またテンポよく行動の結果が示されることが、要因だと思った。
ローグライクに近い味かもしれない。

Twelve Minutesはスリラーの要素と同じだけパズルの要素も持ち合わせており、執拗な反復性はローグライクゲームのようにも感じられる。こうして主人公であるあなたは徐々に経験を蓄積し、行動が一定の結果を生み出し、それが以降のゲームのシナリオに影響していくことを理解する。そして出来事の流れを修正し始めるわけだ。

WIRED 「Twelve Minutes」は、人間の邪悪な側面を“悪夢のループ”で暴き出す:ゲームレヴュー より / https://wired.jp/2021/09/19/twelve-minutes-game-review/



「Twelve Minutes」は、ループから抜け出すために何らかの行動を取ると、前回のループとは違う方向へと話が進み、それがプレイヤーにとっての知識になる。

前回のループは何もできずに男に殺されたけれど、こうしたら少し違った。
じゃあ、それを踏まえて次はどうしよう?

と、ループを繰り返すたびに「こうしたらこうなる」という知識がプレイヤーに蓄積されていく。
その知識のアドバンテージが、それまでを踏まえての新たな行動…と、プレイヤーの行動をどんどん変化させる。
するとゲームが動く。新たな方向へと動いてプレイヤーに更なる「こうしたらこうなる」を与える。

こうして短い間隔でPDCAを回すようなプレイ感覚と、物語を自身の行動が推し進めていく感覚は、少なくとも自分がこれまで遊んできた脱出ゲームなどからは得られなかった。

だからすごいゲームだと思った。



コンパクトな作品なのに、ループものの当事者感覚を十分味わえるのも良い。
自分だけが未来を知っていて、そのために手を尽くし、延々と繰り返す時間を、自分の力で変化させていく。
ループものは特にテキストADVなどに多いけれど、その当事者感覚をここまで手軽に味わえて、しかも面白い作品となると、すぐには思い浮かばない。

Twelve Minutes」はXbox Series S|X、PCで配信中。
XBOXゲームパスに2022年8月31日まで対応しているので、未プレイの方はぜひ今のうちに。
もちろん日本語字幕対応。

PS4、PS5、Nintendo Switch向けにも海外では配信されているようだけれど、国内での配信は未定です。

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