触れたいことにはレビュー内で触れているため、ネタバレでないと書けないことについてのみです。
ラストバトルに関して
批評空間など見ても多くのプレイヤーが不満点としてあげている、ラストバトル。
私はこれを肯定的に受け止めています。
というのも、ギメルロードはラスボスとするには同情の余地がありすぎるから。
ギメルの考え方は過激ですが、物語中の行動、過去の出来事などを見れば、話しの通じない相手には見えません。
一方でラスボスは悪らしい悪で、叩きのめして終わりとしても罪悪感が残らない。
気持ちよく物語を締めるために、必要な相手であったと感じます。
ただ、アリアンナを超越者…神として時間まで引っくり返すのは、思い切りすぎというか、最強の敵の攻略法としては安直で面白くないと感じます。
そもそも何がアリアンナを超越者たらしめたのかが不明瞭ですし、チートパワーで全てを解決…というのも、力でねじ伏せた感を強くしてしまうため本作の内容にそぐわない。
あの場にもしノアがいたら、あんな決着を望んだだろうか…と疑問に思いました。
アリアンナに関して
レビュー内では一切触れず、また評価にも影響させていませんが、私はアリアンナがあまり好きではありません。
理想論ばかりの甘さもそうですが、それ以上に気になるのが、相手の心に土足で入り込もうとするところ。
例えば主人公、ルビイなど、味方になりかけるも、それぞれの思惑により衝突してしまうキャラクターが、本作にはいます。
みなヴァンパイアを嫌ったり、あるいは主人公らの輪に入るのを拒否するだけの確固たるエピソードと理由があります。主人公とルビイは家族をヴァンパイアに皆殺しにされており、そのためあれだけの憎しみを持つのも納得できる。
後ろ向きな感情ではありますが、今の自分を形作る大切な感情でもあり、これを乗り越えて友情を築くのは簡単ではないでしょう。
だというのにアリアンナは、それら大切な感情を踏み荒らし、安易に友達になろうとする。
例えばアリアンナは、敵対する主人公やルビイ対し「〇〇しようぜ!」だとか、突然「ルビイ!」と呼び捨てにするなどし、心の距離を縮めようとします。
呼び捨てにするだとか、敬語を使わないだとかは、心の距離を近づけるためのよくあるテクニックです。
しかし主人公やルビイとヴァンパイアの隔絶は実に大きいもので、いまさら小手先の話術でどうこうなるものではないはず。
家族を殺されたことによる深い憎しみや悲しみを、そんなチョロいやり方で乗り越えようという考えは、大切な感情への侵略に見え、その憎しみと悲しみを軽んじているようにも映ります
フランクに話しかける前に、まず考えるべきものがあるのではないかと感じました
後半の失速により、良い印象が薄れました。
ただ前半は夢中にさせられたこと、更にノアの演説のシーンなど、魅力ある場面も確かにあるため、良作一歩手前の★3.5としました。