タイトル | EVE ghost enemies |
ジャンル | コマンド選択式アドベンチャー |
対応機種 | Switch、PS4 |
価格 | 通常版 8,800円(税込) ダウンロード版 7,700円(税込) |
プレイ時間の目安 | 15時間 |
備考 | 前作、前々作のプレイ推奨 |
総評
「EVE ghost enemies」は人気ADVシリーズ「EVE」の最新作です。
二人の主人公、天城小次郎と法条まりなが、またしても陰謀渦巻く難事件に挑みます。
過去のシリーズと繋がっている作品です。
そのため、最低でも
「EVE burst error R 」
「EVE rebirth terror」
この2作品を遊んだうえでプレイすることを、オススメします。
シリーズのウリであるスリリングなシナリオを、今作でも十二分に楽しむことができました。
恒例のダブル主人公の視点を切り替えるマルチサイトシステム。
これを活かし、いくつもの疑惑を張り巡らせる複雑な事件を描いています。
本作のシナリオを一言で表すならば「疑い」
まりなの視点では信用できる人物が、小次郎の視点からでは黒幕に映り、逆もまた然り。
誰が敵で、誰が味方なのか。
二つの視点で人物の表裏を描くのは「EVE」シリーズの特徴でありますが、本作はそれが特に複雑です。
捜査線上に幾人もの疑惑の人物が浮かび、結びつき、その奥には陰謀が見え隠れする。
そうして広がる疑惑の網は、いよいよ小次郎とまりなすらも飲み込んでしまい…
主人子すらも搦め捕る「疑い」の連鎖。
これをマルチサイトを存分に活用して描く本作のシナリオは、まさに「EVE」。
お約束の「脱ぐ」など奇行コマンドによるギャグも健在。
これだけでも良い作品だと言える「EVE ghost enemies」
更にもう一つ、特筆しておきたい点があります。
それは本作が多重の「疑い」を展開しつつ、同時に全く逆の「疑いを打ち払うもの」を、実に印象的なエピソードで描いていること。
マルチサイトシステムにより広がる疑惑の網からは、主人公すらも逃れられません。
しかし彼らを「疑いを打ち払うもの」が、闇の中から救い出します。
これには感銘を受けました。
闇を濃く描くことで、光をより印象的にする…という手法自体は、決して珍しいものではないでしょう。定番ですらある。
しかし本作はその描き方が、良いのです。
「EVE」であることを活かし、またそれに触れたことが主人公たちの人間的な成長にも繋がってゆく描き方で「疑いを打ち払うもの」の尊さを、表現してくれます。
ではその「疑いを打ち払うもの」とは、いったい何なのか?
それを「EVE ghost enemies」は、どのようなエピソードでもって描くのか?
スリリングなシナリオと合わせて、この点にも注目して遊んでほしい一本です。
実に良い作品である「EVE ghost enemies」ですが、不満点もいくつか。
まず気になったのは、シナリオがどうも複雑で明瞭さに欠けること。
とは言え幾重もの「疑い」を張り巡らせる本作、ある程度は複雑になってしまうのは仕方ありません。
ただ、せめて人物相関図やTIPSなどでのフォローがあれば、分かりやすさも両立できたのでは…と思います。
また終盤にはやや演出不足を感じるシーンも。
シナリオのテーマを考えると、疑問符がついてしまう場面もいくつかありました。
必ず前作、前々作を遊んでからどうぞ。
前のめりになってシナリオを理解しにいく姿勢も、いくらか求められます。
2つの事件どころか、過去のシリーズの事件まで結びつく「EVE」らしいシナリオは、今作でもハイクオリティ。
マルチサイトシステムを通して描かれる「疑い」が、小次郎とまりなを襲います。
同時に描かれる「疑いを打ち払うもの」
その正体と“描き方”に、ぜひ注目してプレイしてほしい一本です。
コメント