【The Medium -霊-】レビュー・評価 珍しい表現。でも平坦で怖くない。

2.5
3Dアクション
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タイトルThe Medium -霊-
ジャンルホラーアドベンチャー
対応機種Xbox Series X/S、PlayStation 5、PC
価格6380円(Steam)
プレイ時間の目安10時間

総評

「The Medium -霊-」はホラーアドベンチャーです。
主人公は超能力を持つ女性。
自身の過去にまつわる秘密を探るべく、ある廃墟に向かうことから物語がスタートします。

廃墟へ向かう主人公

不満の残る作品でした。
ビジュアル面では珍しいものを見せてくれます。
ただ、本作はそれをゲームの面白さに繋げていません



もっともユニークなポイント。
それは並行して存在する二つの世界を、画面分割により同時に見せることです。


作中には現実世界と、主人公にしか認識できない精神世界の二つが存在。
これが一つの画面に同時に表示されます。

上が現実。下が精神世界。

かたや草木に覆われた廃墟。
かたや得体の知れない何かに浸食された空間。
構造は同じなのに、外観の全く異なる世界を一度に見せる表現は、確かに珍しい。

しかし残念なのは、これが本当に見た目の珍しさのみに終わっており、ゲームの面白さにほとんど繋げられていないことです。

本作はアドベンチャーゲームとしては実に平坦。率直に言って退屈です。
「心理的ホラーゲーム」を謳っていますが、怖さも感じられません。
更にシナリオも時系列、人物関係が妙に入り組んでおり、分かりづらい。

視覚的には面白いものを見られます。

しかし他の点はいずれも今一つ。
ホラーらしい怖さも出せておらず、不満点の多いゲームです

詳しいレビュー

ワンパターン、単純な謎解き。

本作はアドベンチャーゲームとして、良い作品だったとは言い難い。

まずマップですが、入り組んでいるように見えてほぼ一本道。
迷うことはありませんし、鍵を入手して探索範囲を広げていくような仕組みも無し。
整備された道路をまっすぐ進んでいるだけのような、味気無さを感じます。

合間に挟まる謎解きは、行って戻ってくるだけの“おつかい感”の強いものが大半です。
時折エネミーが出現。隠れながら進むシーンもあります。
しかしいい加減なプレイでも楽々突破できる難易度で、緊張感を煽る障害になっていません。

分割画面を活かし、二つの世界をリンクさせた謎解きも存在します。
しかしこれもまた単純かつバリエーション不足です。

せいぜい、向こう側でスイッチを押すとこちら側の扉が開く程度のもの。
練りこみ不足を感じます。

ゲームクリア間際になると、ようやく面白い仕掛けが登場するのですが…


探索にも謎解きにも幅がない。
平坦さばかり感じる内容になっています。

おつかいや一本道それ自体が良くないとは思いません。
ただ、そうだと感じさせない工夫が欲しかった。

わかりづらいシナリオ

本作のシナリオは難解です。
普通にプレイしただけでは理解しづらい
でしょう


まず人物、時系列がやたら入り組んでいます。
それをゲーム側で整理してくれることもないため、一度ついていけなくなるとアウト。
進むほどに置いて行かれることになります。

テキストファイルもしっかり読んだ方がいい

それでいて、ストーリー表現の大半を音声、テキストファイルに任せているため、わかりづらさはますますアップ。
音声データにしか登場しない重要人物なども存在。
時系列すらよく分からず、それがどこの誰の、いつの話なのかが全く理解できないことが多々。

これらをプレイヤーの頭の中だけで整理するのは大変です。

もしシナリオを理解し楽しみたいならば、前のめりになって、自ら整理しながら遊ぶ必要があります。
しかし本作は、そのようなプレイに耐えられる内容ではありません。


結局、シナリオは意味が分からずじまいでした。

ホラーの雰囲気“だけ”は出ているが…

本作はホラーゲームとしても、オススメしづらい作品です。
怖くありません。


人の立ち入らない廃墟の、陰鬱とした空気は感じられます。
グラフィックも遠目に見る分にはキレイで、こだわりのサウンドもあって雰囲気は感じられます。

しかし、雰囲気止まりです。

雰囲気は良いのですが…


気になるのは、プレイヤーの安心安全を脅かすモノが皆無な点です。
一部シーンを除いてエネミーが存在しないため、キケンや不安を感じることがほとんどありません。
びっくり系の仕掛けは多少用意されています。
しかし無害だと分かり切っているのですから、驚きはしても怖くはありません。

幽霊のような存在も登場します。
ところが意外と友好的なヤツが多く、遭遇シーンがむしろ一息つくタイミングになってしまっている。

雰囲気が出ている…というよりも、雰囲気しか出ていないゲームだと感じました。

終わりに

ビジュアル面では新しい挑戦をしています。

しかしそれ以上のモノは無し。
ホラーとしてもアドベンチャーとしても、何かもう一つ光るものが欲しい一本です。

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