タイトル | カテゴリーI ~死線上のサバイバー~ |
ジャンル | アドベンチャーゲーム |
対応機種 | Nintendo Switch |
価格 | 980円 |
プレイ時間の目安 | 3時間 |
備考 | ・Steam、PS4、Android、iOSでも近日配信予定 ・2022年5月27日現在、実況プレイやプレイ動画の投稿に範囲の制限あり。要公式サイト確認 公式サイトはこちら |
総評
「カテゴリーI ~死線上のサバイバー~」は、人狼ゲームを題材にしたADVです。
主人公含む10人は、命をかけた人狼ゲームに挑みます。(正確にはよく似た別のゲーム)
ハズレの分岐が最小限しか用意されていません。
そのため横幅が狭い。
正解を当てるまで何度でも選びなおす選択肢が多く、それがまるでクイズゲームのようなプレイ感覚をもたらす作品でした。
それでも、980円という値段を考慮すれば、十分オススメできる一本です。
本作はシーンの大半が人狼ゲーム。
とは言っても、プレイヤーが参加することはありません。
我々はキャラクター同士の議論で進行する人狼を、傍観する立場です。
いちおう主人公と位置付けられた少年は存在します。
しかし積極的に発言するタイプで、果敢にゲームを進行させます。
そのため、無口なプレイヤーの分身ではなく、あくまでカメラ役のような印象を受けました。
では終始、カメラを通して人狼を眺めるだけなのか?と言うと、そうではありません。
プレイヤーは時折挿入される選択肢の中から、正解を選ぶ必要があります。
ただ本作の選択肢、一般的なADVとはやや特徴が異なっています。
というのも本作の選択肢は、その大半に明確な“正解”が存在し、しかもそれを当てるまで何度でも選びなおす作りなのです。
大抵のADVにおける選択肢は、その地点から物語を分岐させる役割を持っています。
分かれ道のようなもので、バッドエンドが待っている可能性はあっても、正解を選ぶまで進めない…ということは少ない。
しかし、「カテゴリーI ~死線上のサバイバー~」は違います。
本作の選択肢は、まるでプレイヤーの理解度を試すクイズのように“出題”されます。
もし間違えてもバッドエンド…ということはほぼありません。
考え直すよう言われ、再び選択肢に戻されます。
正解しないと先へ進めないのです。
問いの内容は「今もっとも怪しい人物は誰か?」など、人狼の状況に関するもの。
選択肢の中から、正しいと思う答えをチョイスします。
物語の分岐に繋がらず、正答するまで何度でも繰り返す選択肢。
この点から、本作はまるでクイズゲームのようなプレイ感覚のADVだと感じました。
誤った選択による、悲しい結末。
これもまたADVらしい表現でありますから、本作も誤答の先を用意してほしかったと感じます。
“その先”が用意されない選択肢は、分かれ道ではなく理解度を試すだけの障害物のよう。
選択次第でいかようにも展開するはずの人狼。
しかし本作は、ずいぶんと横幅の狭い内容です。
また人狼自体どういうものか知らない…という人には、やや勧めづらい内容でもあります。
チュートリアルはありますが最低限。
状況の図解などもありません。
合間の選択肢は、人狼セオリーを理解していないと難しいでしょう。
現に私などハズレを引いてばかりでした。
ただこのような不満も、本作の980円というロープライスを考慮すれば十分飲み込めるものです。
本作は値引きなしでも1000円を切るロープライスタイトル。
それを考えれば、横幅の狭さは仕方がない。
シナリオは短編であるがゆえに、日常の描写は最低限。
序盤から緊迫感あるシーンの連続なため、退屈することがない。
人狼ゲーム自体も、その先にある陰謀も。
ノンストップでどんどん展開していきます。
また分岐が一切ないわけではありません。
少ないもののバッドエンドが用意されていますし、結末も2種類。
更に、この結末はこれまでの選択肢によって変化する仕様。
道中の選択肢が、最後に分かれ道として働くように作られています。
一枚絵はほぼ無いものの、キャラクター全員の立ち絵が手抜き感なくデザインされているのも好印象を受けます。
終わりに
値段相応の体験は得られる作品。
短編ですし、横幅ある展開を楽しむこともできません。
しかし引き締まったシナリオは、退屈もさせません。
完全新作であること、ロープライスであることを考慮すれば、十分オススメできる一本です。
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