【SCARLET NEXUS (スカーレットネクサス)】レビュー・評価 面白いが、持続しない。良い印象のまま終えられなかったバンナム渾身の新規IP

3Dアクション
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力の入った作品と聞けば、それだけで興味がわいてきます。
それが完全新作なら尚更。まだ見ぬ面白さがそこにあるかもしれませんから。

スカーレットネクサスは、バンナム渾身の完全新作。
ゲームそのものはもちろん、発売に合わせてテレビアニメも放送するほどの気合の入れようです。

そのゲーム内容は、シンプルな操作ながらも爽快感のあるアクションが好印象。

しかし終盤になるにつれその爽快感が消えていき、最後まで面白さが持続しない作品でした

タイトルSCARLET NEXUS (スカーレットネクサス)
ジャンルブレインパンク・アクションRPG
対応機種Xbox Series X|S /
Xbox One ( SMART DELIVERY 対応 ) /
PlayStation®5 / PlayStation®4 / STEAM®
価格通常版(パッケージ版/DL版):8,200円+税
DELUXE EDITION(DL専売):9,600円+税

総評

SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)は、バンナムが送る完全新作アクションRPGです。
「怪異」と呼ばれる異形のクリーチャーが人を襲う、近未来的な世界が舞台。
念力や発火といった「超脳力」を使って、怪異と戦う軍隊のような存在「怪異討伐軍」
そこに所属する新兵「ユイト」と「カサネ」の2人が主人公です。

ゲーム開始前にどちらかを選択し、プレイを開始。

左がユイト、右がカサネ



2人の脳力は”念力”
それぞれ同じ物語の登場人物ですが、別々の立場で行動するため、展開の大きく異なるストーリーを楽しめます。

力を入れて作られたゲームだと感じました。
ダブル主人公をどちらも攻略すればプレイ時間は30時間以上に及び、瀬戸 麻沙美さんなど人気声優がCVを務めるメインキャラクターが10人。
主人公によるストーリーの違いも、結末がちょっと変わるだけ…程度のものではありません。
新規IPながら発売に合わせてアニメも放送するなどメディアミックス展開まで行われ、まさに渾身の新作と言えます。



では肝心のゲーム内容はと聞かれれば、これも操作はシンプルにしつつ手触りの良いアクションが好印象。
“念力”と剣、ナイフの投擲を絡めたアクションは視覚的にも派手で爽快感があります。
操作方法も簡単で、覚えるまでの面倒くささは感じませんでした。
戦闘を盛り上げる演出も相まって、超脳力アクションを存分に楽しめる作品になっています。



しかし、残念なのはその楽しさがゲーム終盤まで持続しきらない点です。

物語が進行し敵も強くなるにつれて、アクション面の粗が目立ち始めます。
敵がやたらと堅く、数も多くなるとせっかくのアクションの気持ちよさが徐々に消えていき、最終的には単調さを感じながらゲームをクリアすることになってしまいました。

またストーリーも人を選ぶと感じます。
展開はエグみが効いており、かつ予想外も多く、決してつまらないわけではありません。
しかし造語と壮大なSF、どこかで見たような設定ばかりのキャラで語られる物語は、良くも悪くも若者向けな印象を受けました。

このノリをどう感じるかは、本作を楽しめるかどうかの分かれ目になるでしょう。



アクションの手触りは良好。難しいことを覚える必要のない手軽さで、超脳力アクションを楽しむことができました。
終盤になるにつれて粗が見えてきますが、そのころにはクリアも近いので投げ出す要因にはなりづらい。
キャラとCVだけで売ろうとしているゲームなのでは…と思う方もいるかもしれませんが、その心配は無用です。


尻すぼみ的にアクションの気持ちよさが消えていくのは残念。
シナリオは面白いですが胸に訴えかけるような深みは感じられず、ダイナミックな展開を素直に楽しめる人向けです。
キャラクターもよく言えば王道、悪く言えばテンプレートすぎる設定で、浅さを感じてしまいます。

詳しいレビュー

手触り良好。シンプル操作で楽しむ超能力アクション。

本作の最大の魅力は、簡単な操作で楽しめるアクションです。

剣、ナイフの投擲による通常攻撃。
念力を使って岩や車などを飛ばす超脳力攻撃。

攻撃アクションはこの二つで構成され、組み合わせて敵を倒していきます。



組み合わせるといっても、操作はシンプルにまとまっているため覚える面倒くささは一切ありません。

基本は通常攻撃である剣、ナイフで細かく刻み、念力で車や大岩を叩きつける大技でフィニッシュ、そしてまた細かく。
小技→大技→小技のコンボの流れがスムーズで、テンポよくボタンを押すだけで流れるように連続攻撃を決めることができ、これが気持ちがいい。

念力によって剣、ナイフを操り、そしてオブジェクトが乱れ飛ぶアクションは見た目的にも派手で、ゲームを開始してすぐに爽快感を味わうことができました。

進むにつれて手札が増えていき、打ち上げからの空中コンボや、味方の能力を借りた強力な連携も可能に。
更に戦い続けてゲージをためると、ますますアクションが強化される「脳駆動(ドライヴ)」状態に突入するなど、激しい攻めが豊富に用意してあります。
プレイヤーを盛り上げるカットイン演出も見どころ。

要素を盛り込めばそれだけ複雑になってしまうものですが、本作にはそれがありませんでした。



簡単な操作で楽しむ超脳力アクション。
スカーレットネクサスの醍醐味です。

…しかし。

堅く、数が多い。終盤になるほど消えていくアクションの気持ちよさ。

前述の通り、本作は簡単な操作で気持ちのいいアクションを楽しめます。

しかし大変残念なのは、その気持ちよさが最後まで続かないことです。

主人公たちの敵となるクリーチャー「怪異」は、後半になるほど大型の相手が増えてくる。
やつらは堅く、一度に出現する数も多くなります。
こうなると本作のアクションは粗が目立ちはじめます。

大型の敵たちは、とにかく体力が高くなかなか倒れません。
それでいて攻撃はホーミングが強く、しっかり見ていないと回避は難しい。
更に本作の敵は、攻撃の予備動作に入るとスーパーアーマー状態に。
これにより、適当な攻めをしているとこちらの体力がどんどん奪われていきます。



こちらとしては爽快なアクションで気持ちよく戦いたいのですが、敵はそれを許してくれない。
なにせ予備動作に入った時点でスーパーアーマーなので、とにかく主導権を握られっぱなしになってしまいます。
攻めに割り込まれることが非常に多く、気持ちよさが消えていきます。
仮にうまく見切って回避、反撃したとしても、敵の体力の高さによりあまりダメージを与えられず、相応のリターンを得られていると感じません。

そのうえ本作の敵は画面外からでも容赦なく攻撃してくる仕様
せっかく一体に集中して反撃をきめていたのに、突然横から中断させられるのは面白くない。

敵の攻撃は、特に横方向へのホーミングが強いのも難点
とにかくダッシュして追尾を無理やり振り切る…という回避を行う機会が多くなります。
美しくない回避方法であり、やっていて気持ちよさがない。
いわゆるジャスト回避のようなシステムもありますが、リターンが小さく積極的に狙うメリットがありません。



せっかく気持ちよく、カッコいいアクションも、割り込まれてばかりではそれが味わえません。
おまけに上手く反撃を決めてもあまりダメージが出ないとなれば、魅力は半減です。
後半になるにつれて上がる敵の性能が、戦闘をシビアにする…とういうよりも、楽しさを奪う方向へと働いてしまっています。

エンディングに近づくほど、尻すぼみ的にアクションの気持ちよさが消えていく。
本作のもったいない点だと感じます。

単調すぎる一本道ダンジョン

本作のもう一つの残念な点が、単調な内容のダンジョンです。

本作のダンジョンは、多少アイテムの配置された脇道はあれど、基本的には一本道。
迷わせたり、仕掛けを解いたりするような遊びはほとんどありません。
戦闘とストーリー進行に重きを置いています。



アクション重視の本作にとって、これはこれでアリだと思います。
しかし、前述の通りそのアクションの気持ちよさが消えてくるゲーム終盤は、このシンプルなダンジョン構成も仇になっていきます。

終盤のダンジョンは、一本道上に厄介な敵を、それも大量に配置した作り。
一戦一戦に大型の敵が多く出現し時間がかかる上に、しかもダンジョン自体が長い。
敵のバリエーションが少ないのもここにきて災いし、単調さばかりを感じました。

ダンジョン自体に攻略する面白さはないので、せめて戦闘が楽しければ…とは思うのですが、その楽しさが消えてしまう終盤のダンジョンは、なんとも面倒くさい内容になってしまっています。

人を選ぶストーリー、王道すぎるキャラクター設定

本作のストーリーは、決してつまらないものではありません。

そもそもなぜ「怪異」が存在するのか?や、主人公の生い立ち、そして世界を揺るがす秘密や残酷な真実に迫る内容
意外性のある展開も多く、退屈することはありませんでした。


ただ、やはりこの内容は人を選ぶものだと感じます。
良くも悪くもパッケージからのイメージ通り、言ってみれば若者向けの内容です。



造語と壮大なSF設定は、ダイナミックではありますが胸に突き刺さるような深みはありません。
あまり考えず、素直に展開を楽しむのがベストであると感じました。
そういう楽しみ方ができない、という方は、本作のストーリーは壮大すぎて逆にチープに感じるかもしれません。

また、気になったのはメインキャラクターたちの良く言えば王道、悪く言えば型にハマりすぎている設定です。
奇をてらうよりは良いのかもしれません。
しかし、とにかくどこかで見たような設定を持つキャラクターからは本作ならではを感じられない
これもまたストーリーの深みを消してしまっている原因かと思います。

終わりに

バンナム渾身の新作であるスカーレットネクサス
アクションはカッコよく、それでいて大作にありがちな覚える面倒くささはなし。
新規IPとして力の入れようが随所から感じられ、それだけでも遊ぶ価値のある作品であるといえます。


しかし、最後まで良い印象を保ち続けられなかったのも事実。
続編があればさらに良くなりそうなので、シリーズとして続いてほしいなと思います。


100点満点ではなくとも、気合の入った作品に興味がある…という方は、ぜひ手に取ってみてください

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