怖いもの見たさ、という言葉があります
我々人間は未知のもの、自分の理解の範疇を超えたものを「怖い」と思う。
何をしてくるか分からない、何を考えているか分からない存在は、想像してみても確かに怖い
同時に、人は誰もが「知る」ことを求めているのだそう
未知のものを知りたいと思ってしまうのは、我々の本能
それが怖いものであっても、知りたいという好奇心を抱かずにはいられない
未知の存在は怖い
でもそれがなんであるかを知りたい
こんな2つの心理が重なっているのが「怖いもの見たさ」
今回レビューする「リトルナイトメア2」は、そんな怖いもの見たさのを上手くくすぐる作品であると感じました
一方アクション面では前作より見劣りする面も。
この方向にいってしまったかと残念に思う部分もありましたが、最終的には遊んでよかったと思える作品です
リトルナイトメア2とは
PS4、Switch、XBOX ONE、steamなどで配信中のサスペンスアドベンチャー
小人のようなサイズの少年「モノ」を操作し、ゆがんだ絶望の世界の根源である「電波塔」を目指して進みます
待ち受けるのは人のような姿をした不気味な存在
途中出会う相棒「シックス」と協力し、数々の障害を乗り越えた先に待つ真相は…
「怖い」よりも「知りたい」で進むサスペンスアドベンチャー
見つかれば命はないスリル
ホラーアドベンチャーとして有名になった本作
しかし、感覚としてはホラーよりはスリルの方が近いです。
小人サイズの主人公たちが進むのは、奇行を繰り返す「人のような何か」の領域
ヤツらは主人公を見つけると、言葉も理由もなく殺意をむき出しにして襲い掛かってきます
非力な主人公に抵抗する術はなく、捕まれば即ゲームオーバー
そんな「人のような何か」のすぐそばを隠れながら進んだり、場合によっては目を盗みながら探索しなくてはならないことも。
敵は視界が広く、物音にも恐ろしく敏感
一度見つかってしまうとステルス状態に戻るのは難しい
しかし先へ進むためには避けて通ることはできません
息を殺し、物音を立てないで…もし見つかれば命はない…そんな死と隣り合わせのスリルを味わえる作品です
あっという間にゲームオーバーになりますが、オートセーブは細かくリトライが容易。
背筋が凍るホラー…とうよりは、手に汗握るスリルを体験したい人にオススメの一作です
なぜ?と思わずにはいられない、「語らない」ストーリー
本作の最も大きな魅力が、多くを語らずに進むそのストーリー
作中では、言葉を使ってストーリーが語られることは一切ありません
そのためプレイヤーは常に「なぜ?」を頭に浮かべながら本作を遊ぶことになります。
そもそもこのゲーム、事の起こりからして謎が多すぎる。
なぜ主人公たちはこんなに小さいのか?
敵は一体何者なのか?
なぜ襲われるのか?
遊んでいるとこんな謎が次々に浮かんでくるのですが、ほとんど明らかにされず、物語は進んでいきます。
しかしノーヒントではありません
プレイヤーに考えることを促すかのように、背景やイベントを使って、朧気に真相をチラつかせてきます。
語られないからこそ、「なぜ?」とプレイヤーの知りたい欲求を刺激する
あえて全てを語らずに、常に断片的に情報を掲示し、欲求を満たしつつも満足はさせない
このバランスが上手く、中途半端にエサを与えられるからこそ、その先が気になって遊ばされてしまいます。
断片的な情報から考察するのが好き…なんて人には特にオススメできます
…ちなみに、本作最大の真相にしてナゾは、最後の最後に衝撃的な形でプレイヤーに突き付けられます
鬼ごっこが多く、やや不満の残るアクション
本作はアクションアドベンチャーの要素も強く、プレイヤーは障害を乗り越え、アイテムを探して道を切り開いていきます。
しかし、このアクションがややワンパターンになっているのは残念な点でした。
具体的に言うと、ゲーム全体を通して、捕まったら即死の「鬼ごっこ」が多い。
恐ろしい存在から追いかけられるのは確かに怖いし、スリルを感じるものです。
見つからないように進むスリルとはまた性質が違うので、緩急をつける意味でも、この要素がいらないとは思いません。
しかし捕まったら即死の鬼ごっこはスリルがある一方、覚えゲーの側面が強い
遊びとしては単調で、多用されてしまっているぶん後半になるほど「またか」と思ってしまうことが多くなりました
掴みづらい奥行きの感覚を求められるシーンが増えたのも、気になる点です
本作は2Dとは言っても、マリオのような完全2Dではなく、奥行きのあるマップを横から見ているタイプ
しかしカメラを動かせないので、その奥行き感は掴みづらいです
それでいて、それを把握していないと難しいシーンがあり、ストレスを感じてしまうことがありました
どれもアクションゲームとしての幅を広げようという試みだとは思いますが、やや裏目に出てしまっているなと感じます
総評
見つかれば命はない「スリル」
そしてナゾ多きその世界観、ストーリーに対する「なぜ?」
本作はこの二つでプレイヤーを引き込んできます
襲い来るヤツらは恐ろしい
でもその正体は何なのか
全ては明かされないからこそ気になり、気になるからこそ先へと進みたくなってしまいます
この二つだけで十分最後まで遊ばせる力を持っていますが、アクション面ではスリルを通り越してストレスを感じてしまう点があったのは惜しい
ホラーよりもスリルを感じたい人にオススメの作品
不気味な世界観、アートワークに心惹かれる人にも遊んでほしい一作です
ミドルプライスですがボリュームも相応なので、あまり時間をかけずにクリアできますよ