途中寄り道した秋葉原から、総武線三鷹行きに乗ること30分。
春分の日を含む、3連休初日の夜。
東京は夕方から強い雨が降り出して、昼間の温かさが嘘のように寒くなった。
それでも高円寺駅は、人の活気に溢れている。
友人と飲み明かすのか、一人憩いの時間を楽しむのか。
改札を出ると、みな三々五々に歩いていく。
南口から右手に見える「パル商店街」を、駅から離れるように進むと、ちょうど真ん中をすこし過ぎた辺りのところに、カフェ・プエラリウムはあった。
パル商店街は全蓋式アーケードに覆われており、悪天候でも客足の衰えは小さいように見える。
彼らを呼び止めんと軒を連ねる店は、実に多様だ。
立ち食い寿司に古着屋、コンビニ、カラオケ。キン肉マンショップなんてものまである。
どこか下町の風情を感じるパル商店街の中で、カフェ・プエラリウムは異彩を放っていたように見えた。
なぜかって、店が地下にあるからだ。
大きな看板が出ているわけでもない。
歩いているだけでは、そこに喫茶店があることに気づかないかもしれない。
ぜひうちにと主張する店が立ち並ぶ商店街の中で、である。
いや、むしろそんな異彩こそ、この店の人気のヒミツなのかもしれない。
ポケットからスマートフォンを取りだし、入店開始時刻の18時になったことを確認する。
商店街の喧騒を背に、ちょうど人ひとり分の幅の階段を下りて、地下の店内へ。
非日常へと踏み込む感覚がした。
トークと歌、プレゼントまで貰った和やかな時間
海原望×大石竜子3作品合同コラボカフェ「カフェ・プエラリウム」に参加してきました。
二週間ちょっとの日程のうち、二日間だけ開催されるLIVE DAY。
つい先日「エヴァーメイデン ~堕落の園の乙女たち~」を遊び終えたばかり。
このタイミングで主題歌を生で鑑賞、しかもシナリオライターのトークまで聴けるのは贅沢な体験だと感じたので。
コラボドリンクで喉を潤しながら、Ritaさんの歌、気さくな人柄である海原先生のトークを堪能。
Ritaさんは歌姫と同時にMCも務めており、その軽妙洒脱っぷりに驚かされました。
幸運なことに、海原先生には私が事前に送った質問に返答をいただきました。
シナリオライターに直接質問できる機会など、一介のファンにはそう訪れません。
またプレゼントコーナーではまさかのCD当選。
盤面にRitaさんのサインまでしてもらい…私のオタクグッズの中でも最高クラスの一品として保管しています。
店内の展示にも意匠が凝らされており、作品世界により親近感を持つことができました。
特に遊び終えたばかりのエヴァーメイデンに関する展示は、ニヤリとせずにはいられないものが多数。
夢中になって写真を撮っていました(笑)
ADVとブログの心細さを、癒す時間
日々アドベンチャーゲームを遊び、そのことをブログに書き続けていますと、どうしようもなく“心細さ”を感じることがあります。
アドベンチャーゲームもブログ執筆も、孤独な体験になりがちだからです。
アドベンチャーゲームは一人用のゲーム。
ネタバレを考慮すると、迂闊に内容をTwitterに漏らすわけにもいきません。
ブログ執筆などは孤独の極みで、むしろ如何に外界を遮断するかがキモですらあります。
無論、どちらも好きでやっていること。
不満があるわけではありません…が、やはり私だって普通の人間。
人気のストリーマーやVtuberのように、賑やかにやり取りしながらゲームを遊びたい…
そう思ってしまうことが、確かにあるのです。
しかし私は生来のぼっち気質が災いし、現実でもネットでも友達の多い方ではありません。
作るのも苦手です。
ですから、アドベンチャーゲームを遊び、得たものを発信する機会はあっても、分かち合う機会はほとんど得られていません。
だからこそカフェ・プエラリウムでの時間は、私にとって癒しでありました。
“紙芝居”と揶揄され、またSNSでの共有の難しさから、いよいよマニアックなジャンルに変わってきているようにすら感じる、テキストアドベンチャーゲーム。
しかし、あの日、あの地下の店内は、そんなアドベンチャーゲームのファンが集い、作品への愛を分かちあう場でありました。
私が大好きな作品を、同じように大好きな人が、確かにいる。
それを実感できたことで、心細さが、なんだか癒された気がしたのです。
アドベンチャーゲームもブログ執筆も、きっと孤独な体験であり続けるでしょう。
また心細さを感じることは、必ずある。
けれどそのたびに、カフェ・プエラリウムで過ごしたひとときが、蘇ってくるだろうと思います。
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