【リターナル】レビュー・評価 ローグライク×ソウルライク。2つの中毒性をあわせもつ時間泥棒TPS

FPS / TPS
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ローグライクとソウルライク
近年はこの二つの名作が多く世に出ていると感じます。

とくに多様な作品が見られるのはインディーズ
「Dead Cells(デッドセル)」や「Slay the Spire(スレイザスパイア)」など、世界で高い評価を受ける作品もどんどん出てきています。

そんな中、まだ数が少ないPS5独占タイトルとしてついに発売されたのが、ローグライク×TPSゲーム「リターナル」

バグの報告が散見されるのは残念です

しかし、その内容はソウルライクとローグライクの中毒性をあわせ持つ、とんでもない時間泥棒ゲーでした。
私の2021年のゴールデンウィークは、この一本に捧げた…といっても過言ではありません。

朝遊び始めたのに、気が付けば夕方になっている…そんなタイムマシンのようなゲームです

タイトルReturnal(リターナル)
ジャンルTPS
対応機種PS5
価格8690円
プレイ時間の目安15~25時間


総評

本作は、いわゆる「ソウルライク」と「ローグライク」を掛け合わせたようなTPSです。

エリア奥に待ち受けるボスの撃破を目標に、毎回変化するエリアを探索します。

毎回変化する…と言っても、実はランダム性はそれほど高くありません。
具体的にいえば、エリア間の繋がりは変わるけど、エリア内の配置はいつも同じ…といった具合。

例えば玄関から入ってみたらいきなりキッチンだったり、キッチンから出ると中庭だったりするわけです。
しかし、キッチンに浴槽があったりはしません。
キッチン内のモノの配置はいつも変わらず、中庭のタンポポも同じ場所に咲いています。

これはザコ敵の配置に関しても同様です。
敵が出現する場所は、いつも同じ。
そのため、臨機応変な対応力以上に、繰り返しのプレイで身に着けるプレイヤースキルが攻略の重要なポイントになっています。

これらの点から、各エリアの攻略には、「ソウルライク」の印象を強く受けました。




ではどこに「ローグライク」が出ているか?と言えば、それはズバリ、アイテム集めです。

本作はゲームオーバーになると、ほとんどのアイテムを失います。
再開時の装備はハンドガン一丁のみになり、回復アイテムすらも残りません。
そのままではボスでの苦戦は必至
なので、本作は毎回アイテム、そして装備を集めることから始めていきます。

このアイテム集めは、非常にランダム性が強くなっています。
アイテムが置いてある場所は変わりません。
キッチンなら戸棚に、中庭なら木の陰に。いつもアイテムが置いてあります。
しかし、何が置いてあるかは毎回変化します。

キッチンの引き出しにショットガンが入っていることもあれば、敵だらけの中庭にあったのは果物ナイフ…なんてことも。



待ち受けるボスは強敵です。
できるだけアイテムを集め、有利な状態で挑みたい。
でも、何がどこにあるかはわかりません。
あの敵だらけの部屋の奥にあるのは、ロケットランチャーかもしれない。
もちろん、つまようじの可能性だってある。

ボスを倒すため、プレイヤーは現時点での最強を目指します。
しかし、そこにはいつだってリスクが付きまとう。

欲を出して探索し、強敵に敗れれば全てを失いやり直し。
しかし、もし突破できれば…すごいアイテムが手に入るかも。


ローグライクのように、何があるかわからないからこそ。
ソウルライクのように、最奥に待ち受けるボスがいるからこそ。
探索するメリット、しないメリットのどちらもが成り立っています。

進むべきか、退くべきか。正に1プレイ1プレイが真剣勝負。

ザコ敵であっても油断ならない「ソウルライク」要素
何が手に入るかがわからない「ローグライク」要素
元々中毒性の高い2つを組み合わせることで、とんでもない時間泥棒ゲーに仕上がっています。

アクションゲームとしての手触りも抜群に良い
スピーディで動かしていて気持ちいい、でも手に汗握るハードなTPSを存分に楽しむことができました。


一方、もったいないのはバグで評価を落としてしまっている点です
特に報告が多く、たちが悪いのはゲーム途中で進行不能になるバグ。
進行不能といっても、いったんリセットしてやり直せばOKです。
しかし、時間をかけて準備をするバランスの本作では、もっともあってはいけない類のバグ。

私はクリアまでに一度しか遭遇していませんが、無視できない問題です。

また先日のアップデート後にはセーブデータ消失の報告などもあり(現在パッチで改善済)、なんだか危なっかしさを感じてしまう部分もあります。

バグは擁護のしようがありません。
またかなり時間を食うゲームなので、スキマ時間にちょっとずつ…みたいな遊び方も難しい作品。
難易度も高めで、ゲームにガッツリ時間を使える人にしかオススメできません。



しかし、難しくも極上の体験を楽しめる一作
一度始めてしまえばやめ時が見つからず、あっという間に時間が過ぎていきます。
「中毒性」というワードに惹かれるなら、遊んで損なし。
我こそは、というゲーマーが多いであろうPS5。

その最初の一本としてもオススメです

詳しいレビュー

ランダム性が低いからこそ味わえる、プレイヤースキル上達の楽しみ

 前述の通り、本作はローグライクとソウルライクを掛け合わせたような作品です。
油断ならないザコ敵と、一撃が重いボス戦。
それでいて回復手段は限られており、この感覚は「ソウルライク」のそれです。

「ローグライク」の要素として、エリアの繋がりは変化しますが、敵の配置はほとんど変わりません。

本来のローグライクとは、敵の配置も毎回変化するもの。
何もかもが変わるからこそ、新鮮な冒険がいつまでも楽しめる。
その点で本作は、中途半端なバランスをとっているとも言えます。


しかしそのバランスが、「ソウルライク」の醍醐味である、プレイヤースキルを上げる喜びを味わえることに繋がっていると感じました。

アイテムの内容はランダムなので、思うようにいいものが集まらないこともあります。
その一方、敵の配置は変化しないため、戦闘する上でプレイヤーの経験が大きく活かされます。

・このエリアはここが危険だ。
・強敵が出現するエリアなので、周りのザコを素早く倒そう

繰り返しプレイすることで、各エリアの攻略法が少しずつわかってきます。
はじめはわけも分からずゲームオーバーになったエリアを、気が付けば最小限の被害で突破できるようになっている。

敵の配置などはランダム性を低くし、「ソウルライク」なバランスにしてあります。
変わらないからこそプレイヤースキルの介入する部分が大きく、上達を実感しやすいゲームになっています。


ローグライクの要素を入れながらも、プレイヤースキル重視のアクションを楽しめました。

正に功罪あわせ持つ。常に選択を迫る、アイテム集め

では本作のもっとも「ローグライク」らしい部分はどこなのか?
それはズバリ、攻略の上でとても重要なアイテムに関する部分です。

本作のアイテムは、置いてある場所は変化しませんが、何が置いてあるかは毎回大きく変化します。

いかにプレイヤースキルが重要とは言え、やはりボスに挑む上では万全の準備をしたいもの
特に初期状態ではHPを回復する手段を持っていないため、探索の重要性は大きいです。

しかし本作のアイテムは、ただ集めればいいというものでもありません。

アイテムの大半は入手コストがかかる、もしくはデメリットとなる効果が付随しているからです。
そのため駆けずり回り、全てを回収すれば良し…とはなりません。

メリットとデメリットをあわせもつ、「パラサイト」


更に悩ましいのは、アイテムのメリットとデメリットは、必ずしも釣り合っているわけではない…という点。
大きなメリットの割にはデメリットが小さいものもあり、結局探索してみるまではわかりません。

強敵の先にあるアイテムは、果たしてどんなものか。
もしかしたら、デメリットが大きすぎて使いづらいかもしれません。
もちろんその逆もあり得えます。

また、入手コストの存在も頭を悩ませるポイントです。
本作のゲーム内通貨「オボライト」は、入手できる量が限られています。
全てのアイテムを回収することはもちろん不可能。
そのため、どこでコストを払うか?の選択が重要です。

どのアイテムを買うか?の選択が重要です


選択といっても、アイテムは戻ってこれない場所に置かれていることもあるため、なかなか難しい。
いま払ってしまったら、この先にあるアイテムを手に入れられない可能性も出てきますからね。


ボスが強力なので、プレイヤーとしては万全の準備をしたい。
しかしその助けになるアイテムは、良い点と悪い点をあわせ持っています。
リスクを背負って探索するよりも、現状のままボスに挑んだ方が…という選択肢も考えられる。
アイテム求めて強敵に挑んだ結果、むしろアイテムを消費…最悪ゲームオーバーになってしまっては元も子もありません。

頼もしいサポートになるアイテム。
しかし良い点ばかりではないからこそ、引き際の駆け引きが生まれてきます。


このデメリットを背負って大丈夫か?

プレイヤーは、常に最適解を求めて頭を悩ませることになります

ボスに負ければイチから集めなおし。
だから絶対に負けたくない、万全にしたい、そのためにどこまで攻めるのか…この駆け引きはアツい。

アイテムは強力だがデメリットを持ち、「ローグライク」らしいランダム性があるからこそ、引き際も重要になってくる。
ボス戦へ向けて、1プレイ1プレイが正に真剣勝負。


中毒性の高い駆け引きが楽しめる作品になっています。

軽快によけて激しく撃つ、爽快感抜群の「動く」TPS

本作のジャンルはTPSとなっています。
武器は全て銃で、遠距離での戦闘がメイン。

しかしその中身は、一般的なTPSとは大きく違い、とにかく「動く」TPSとなっています。
TPSと言っても、物陰に隠れてじっくり狙い撃つ…ということはほとんどしません。


いわゆる「カバーアクション」が存在せず、ダッシュとジャンプを駆使して敵の攻撃を回避。
同時にガンガン弾を撃ちまくる、かなりアクティブな内容
デフォルト設定ではオートエイムも強めに効いており、TPSというよりはアクションゲームに近いと感じました。
弾切れの概念は存在せず、リロードも自動で行われます。

シューティングとしては大胆なバランスです。
しかし、これが爽快感抜群で気持ちがいいんです。

キャラクターを動かした際の手触りがよく、ダッシュとジャンプの繋がりも滑らかかつスピーディ。
脚を止めることなく、戦場を文字通り飛び回り、次々に敵を仕留められれば気分は最高。

「ソウルライク」らしい緻密な立ち回りを求められる一方、鮮やかに戦場を駆けまわる爽快さも同時に持っている、とても気持ちが良いゲームになっていると感じました。

無視できないバグの存在

高い中毒性で病みつきになる面白さの本作
それだけにもったいないのは、各所で報告されているバグです。

主に進行不能バグ…と言っても、ゲーム自体を進められるわけではありません。
一度リセットする必要があるタイプのバグが、多く報告されているようです。

ローグライクの性質を持つ本作では、もっともあってはならないタイプのバグだと感じます。
時間をかけてアイテムを集め、リスクを背負ってキャラクターを強化し、ボス戦に挑む…という内容
それが途中でバグが発生、やり直しになったら…ダメージは大きいです。


私もクリアまでに一度だけ発生しました。

終わりに

バグの存在だけは惜しい。
後々アップデートで修正されるとは思いますが、この点を無視することはできません。

しかし、ゲーム内容は素晴らしい物です
ローグライクとソウルライクの中毒性を同時に味わえてしまう本作は、驚異の時間泥棒。
土日くらいならあっという間に溶かしてしまうため、その点に注意して摂取してください。

時間のあるゲーマーにこそオススメしたい、PS5に現れた新たな高難易度ゲー、リターナル
あなたもぜひ、挑戦者になってみませんか?


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