【テキストADVマガジン2025年11月号】Keyキネティックノベル新作発売、アメリカ産推理ADVにも注目…他。

テキストADVマガジン
この記事は約12分で読めます。

今月の気になる新作ピックアップ

今月発売、注目の新作をピックアップして紹介します。

Keyの新作キネティックノベルが2025年11月28日に発売されます。

今回はシナリオは松山剛、イラストをKEIが担当。松山剛は主にライトノベルを中心に活動していて、キネティックノベルの関連だと過去作『LUNARiA -Virtualized Moonchild-』の脚本も手掛けています。KEIは初音ミクなどで有名なKEI。

物語は近未来を舞台にしたSF×サイバー犯罪…?
体験版などは公開されていないので、現状では公式サイトから分かる範囲で語るしかありません。というか体験版も配信予定だったんですが、不具合による延期がアナウンスされました。

キネティックノベルといえば前作『終のステラ』が良かったので、今回もけっこう注目しています。まぁライターが異なるので同じような内容を期待しているわけではないんですが、シリアス寄りのシナリオを見せてくれそうな予感は…あります。

なお発売はPC向けのパッケージかDLsiteとDMMでの配信で、Steamやコンソールでの展開は現段階では不明。キネティックノベルは後から移植されることが多いですけども、今回はどうなのかな。

2025年11月26日配信予定。

アメリカのスタジオArmonicaによるコマンド選択ADVがいよいよ発売。当ブログでも何度か話題にしてきたタイトルです。ファミコン探偵俱楽部の記事を書いていたときに色々考えたこともあって、このジャンルの新作をもうちょっと遊んでみたい気がしているんですよね。

そんな本作はオーソドックスなコマンド選択の仕組みで遊ぶ推理ADV。開発チームは日本の『逆転裁判』などに影響を受けて開発していると発言しています。

体験版がけっこう前から公開されていまして、私もプレイ済み。本当に導入部なので良し悪しは何とも言えませんが、日本語訳もまぁ自然でビジュアルも気合が入っているタイトルだと思います。

公式曰く、本作はプレイヤーの推理力を要求する内容で、総当たりで解決できる場面を極力なくした作りであるとのこと。

これに関しては先月の記事でも書きましたが、推理力を要求するならば推理できるように情報を提示しなくてはいけないし、その情報を自由に確認できるシステムは必須だと思います。その辺りが丁寧に作られているかが気になるかな。要は推理がムチャ振りになっていないかどうか。

因みに発売を間近に控えて、ついにタイトルも日本語に訳されました…が、これなら原題『Detective Instinct: Farewell, My Beloved』の方が良いような気がする…。

2025年11月27日発売予定。『キミキス』などで有名な杉山イチロウ氏が関わる恋愛SLGがDragami Gamesより発売されます。

本作は言うなれば完全版の完全版。元々は『LoveR』という作品がありまして、これに改良を施して発売されたのが『LoveR Kiss』。そして今回発売する『LoveR Kiss Endless Memories』は『LoveR Kiss』の配信済みDLCを全て収録するなどした内容。このほかにもヒロインの写真撮影を更に楽しめる新モードが追加されているようです。

公式ではやっぱりヒロインとその写真撮影がプッシュされていて、これってテキストADV…?という感じはあるんですが、『キミキス』から連なる作品群の系譜で、だからテキスト中心の恋愛ADVでもある…はず。

ちなみに本作、元々はSteam版も発売予定だったのですが、諸般の事情により中止に…。理由は明かされていませんが、セクシャル表現が原因ではないかと噂されています。ただしプラットフォームをDLsiteとGOGに移しての発売が決定しており、こちらから購入すればPCでもプレイ可能。

更にSwitch2版も後発ですが開発中で、Switch版はアップグレードパスによるアップデートも決定しています。発売時期は未定。

『LoveR Kiss Endless Memories(ラヴアールキスエンドレスメモリーズ)』公式サイト
新しい恋、永遠に…。7人の女の子との想いを「写真」に込めて。告白した、あの思い出はそのままに。多数の追加要素を加えた『完全版』が登場!あなただけの、終わらない恋の思い出を『撮影』しよう!『LoveR Kiss Endless Memorie...
画像はフリーゲーム版より

2025年11月27日配信予定。

フリーゲームから始まった代筆ADVが多数の要素を追加してSteamとSwitchにて発売されます。開発はマテンロウ計画(@uta_vit999)。

主人公は手紙や声明文の代筆を営むお店「ワールドワード」の店員になって、依頼人から託される様々な文書の代筆をします。特徴は文中の一部がルーレットによって決定される点。ルーレットを止めるのはもちろんプレイヤー…結果しだいでとんでもない文章が出来上がってしまうことも。

むしろそのトンデモ文章を作って遊ぶゲームと言っていいかもしれません。

いちばん下の行がルーレットできまった文章。変なことが書いてある。

Steamにて公開されているデモ版を遊んだ感じ、基本的にはギャグゲーの印象です。ルーレットの目押しは可能なので正しく完成させることもできますけれども、それを狙うゲームではない感じがする。

その他ドット絵もまぁ可愛いですし、キャラも尖っていると思います。クスっと笑えるゲームを遊びたいときには良さそう。

2025年11月30日配信予定。

発売中止になった架空のゲームを巡って展開されるサイコホラー。ゲーム内にはなぜかプロテクトがかけられたナゾのデータがあり、プレイヤーはこれを通して、ゲーム開発の裏に秘められた闇に迫る…という内容。

本作、もともとは先月末に発売予定だったんですが延期して11月末に。なので先月の記事でも紹介しています。Xの公式アカウントでは11月末には間に合いそうと発言されているので、今回は恐らく発売?

また配信されるプラットフォームがSteamから変更になっているので注意。DLsiteやDMMで配信されます。Steam版の発売も諦めていないとのことですが、ひとまずは見送るとのこと。

先月も書きましたが、いわゆるフェイクドキュメンタリー、モキュメンタリーの作品。自分はあまり詳しくは知りませんが、最近はやっている印象です。本作はロープライスであるためテレビ局が作るような大規模なものではないのだと思いますが、意欲作だと感じるので期待しています。

【Switch、Steam新作発売スケジュール】11月の主な新作テキストADV

2025年10月末日現在確認できる、Switch、Steamの新作ADV発売スケジュールをまとめています。
新作リストには抜けがあります。

()内は大まかなジャンルやDL専売か否かなどの情報。ジャンルは公式情報などから読み取れない場合、筆者の予測で書いています。

Nintendo Switch

発売日タイトル(ジャンル)
11/6金色の陽だまりと君の隣(恋愛、DL専)
11/13ビューティーダーリン(恋愛、DL専)
11/20闇色の魔珠(乙女)
11/27アマカノ2(ギャルゲー)

LoveR Kiss Endless Memories(ギャルゲー)

CHAOS;HEAD / CHAOS;CHILD らぶChu☆Chu! DOUBLE PACK(ギャルゲー)

代筆屋ワールドワード(コメディ、DL専)

DYNAMIC CHORD feat.KYOHSO Remaster edition(乙女)

Steam

発売日タイトル
11/3氷点下30度の絶望(サイコ、ロマンス)
11/5おじいちゃん!ごはんつくって!(コミュニケーション、AI)
11/7トルービズの秘薬師(言語読解)
11/26・探偵の眼:さらば、最愛の人よ(ミステリ)
11/27代筆屋ワールドワード(コメディ)
11月・WLRight(ジュブナイル)

Yoram – Question Arc(倒叙ミステリー)

怪異ジャッジ・ドリーミー(怪異探偵)

Cycle of Struggle: Ardengrad(社会問題、ジュブナイル)

一言コメント

ピックアップ作品以外だと…なんだ?
『Yoram – Question Arc』は韓国発の推理ADVで、韓国では注目を集めている作品です。ただ自分は体験版が起動できない不具合に遭遇してしまって紹介を断念しました…製品版はいけるんだろうか。『トルービズの秘薬師』も気軽に遊べる言語読解ADVとしておおむね好評のイメージ。ただ難易度は控えめなもようです。

【ニュース】周回遅れのADVニュース

先月中に発表されたADV関連のニュースの中から、気になるものを周回遅れでピックアップ

『魔法少女ノ魔女裁判』のAcaciaとハイドがゲーム制作会社“Acacia Games”設立。ハイドは『プチプチおみせっち』『ルンファク5』など豊富な開発実績を持つ | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
『魔法少女ノ魔女裁判』を開発するAcaciaと、『たまごっちのプチプチおみせっち おまちど~さま!』など豊富な開発実績を持つハイドによるゲーム制作会社“Acacia Games”が設立した。

デビュー作『まのさば』がヒット中のAcaciaと『みんなのGOLF WORLD』や『龍の国 ルーンファクトリー』など手掛けるハイドがゲーム制作会社Acacia Gamesを設立しました。

2025年は『都市伝説解体センター』や『ダレカレ』などインディーからのADVが話題になりましたが、『まのさば』はこれに並ぶ好調のイメージ。まぁ発売前から朗読イベントを行うなどお金の掛かっていそうな作品ではあるんですが、それにしてもここまでの反響があるとは全然予想していませんでした。

Acaciaは既に近いテイストの新作を2本発表するなど精力的でして、今回の新会社設立もその意欲を感じさせるニュース。タッグを組むハイドはデベロッパーであるため表で目立つことは少ないですが、国内の有名シリーズの開発をいくつも手掛ける実績のある会社です。より幅広いジャンルの開発が可能になりそう。

sprite 15周年記念特設サイト
spriteが15周年を迎えたことを記念した特設サイトです。

『蒼の彼方のフォーリズム』などで有名なSpriteがブランド設立15周年の記念サイトをオープン。その中で新作を2026年に発売予定であることを発表しました。

Spriteと言えば過去にはブランド存続が危ぶまれたりもしましたが、こうして継続できているのは何より。自分も『あおかなEX2』がかなり好きなこともあって注目しているブランドです。記事は消えてしまいましたが『everlasting flowers』もかなり長文でレビューしたことを覚えています。

そんなわけで、今回の新作発表を嬉しく思っています…まぁ情報はまだ何もないんですけども。とはいえ2026年発売予定とのことなので、開発は既に進行しているんじゃないかなぁ。

Dragami Gamesが『LoveR Kiss Endless Memories』のSteam版発売中止をアナウンス。理由は明かされていませんが、セクシャル表現が引っ掛かったのではないかと噂されています。ただしGOG.comとDLsiteでの発売が既に決定していまして、PCで遊びたい方はそちらをどうぞ。

本作は小学生のヒロインも登場する大胆(?)な内容なので、セクシャル表現でのNGだったとしても特に違和感はありません。未プレイなので詳細は分からないんですが、写真を撮影できるんだったかな。

これについて、美少女ゲームと性やジェンダーなどに関する話、どちらにも関心のある自分としては、どっち側に立って物を言えばいいのかが難しい。小学生のヒロインの写真を撮るという行為はどうしても児童ポルノを想起させます。しかし犯罪を想起させる、あるいは犯罪を実際に行って遊ぶゲームはほかにいくらでもある。その中で児童ポルノを想起させるものが、発売を許可されないほど殊更に問題だと言える理由は…なんなんだろう。

即席で考えてみますと、ひとつは、その内容を楽しむゲームがあるということそれ自体が、児童に恐怖を与える…ということかなと思います。児童ポルノ製造を想起させる行為を遊びとして楽しめるゲームが発売されること自体が、児童にとっては怖いことといいますか。それは成人女性が対象でも怖いのは変わらないんですが、児童は自分で自分の身を守る力がまだ弱いので、国家などが積極的に介入して保護する必要がある…この辺の話は何かの本で読んだことがあります。

そこでは当然、みんな大好きな「表現の自由」との衝突がある。そして日本は特に二次元においてはかなり規制の弱い国ではないかと直観します。

というのも、外国は日本よりも遥かに児童ポルノに関する規制が強い国も多くて、例えばちょっと検索してみて出てきた論文によると、カナダでは文章すらも児童ポルノに該当する内容なら規制されるようです。ただその論文は2008年の話なので、今はどうなっているか分かりませんが。

そしてSteamは拠点が外国にあるプラットフォームですから、そこでの倫理観に照らし合せたうえで『LoveR Kiss Endless Memories』を通せないのは、決して不自然なことではないと思います。

※スト6のスクショです

人気格闘ゲーム『ストリートファイター6』と『かまいたちの夜』がコラボ。具体的にはスト6内に無料アップデートでかまいたちの夜風のノベルゲームが追加されています。

私もさっそく遊んでみたんですが、思ったよりもずっとちゃんとコラボしていて驚きました。…というのも、どう考えてもネタというか、ファン層が被っているイメージもないのに、なぜコラボしたのかがさっぱり分からないんですよね。『餓狼伝説』とコラボするのは分かりますけども。なのに物凄く手間がかかっているのが分かります。

物語はもちろんギャグテイストが強めですが、一方で間違いなく『かまいたちの夜』をやろうとして作られているのもはっきり分かって、ネタと無料でやるには豪華すぎる内容です。ほとんどの部分を今回のコラボのためだけに作成したようで、その辺りの事情が『かまいたちの夜』の30周年サイトにて公開されている対談企画で明かされています。

『ストリートファイター6』×『かまいたちの夜』 コラボ記念 我孫子武丸 with スト 6 開発者スペシャル対談企画 | かまいたちの夜 30周年記念サイト | スパイク・チュンソフト
『ストリートファイター6』×『かまいたちの夜』ありえない衝撃コラボの裏側に迫る!

『かまいたちの夜』といえば公式からの供給は長いあいだ途絶えています。まぁ30周年に合わせて移植などはありましたが、逆に言えばそれくらい。そこにまさかスト6という今を煌めく巨大シリーズからこんな企画が生まれるとは思いもよらず…こんだけ愛されているんだから、せめて初代を現行機で遊べるようにしてほしいもんですねぇ。

ちなみに本コラボを遊ぶにはスト6のワールドツアーモードを進める必要があります。ゼロからやって1時間ちょっとかなぁ。

舌なめずりはしないのか?

終わりに

『H9』と『LoveR Kiss Endless Memories』、2本の国産ゲームでのSteam版発売中止に、色々と思わずにはいられない…。日本のゲームのセクシャル表現って、やっぱり外国基準だとぶっ飛んでるんだろうなぁ…。

その一方で嬉しいのはあのスト6が『かまいたちの夜』とコラボしたこと。本当に豪華なのでぜひかまいたちファンに遊んでほしいところなんですが、まぁコラボのためだけに買うってのも難しいのでどう勧めればいいのかがよく分からない。

社長、やってますわ

さて次でいよいよ今年の新作も一応まとめ終わります。今年を振り返ると『まのさば』は遊んでおきたいな~と思っています。

著作権について

当サイトで掲載している画像、動画、引用文等の著作権は各権利者所有者に帰属しております。

掲載内容に問題がありましたら権利者ご本人様よりお手数ですが当サイトのお問い合わせフォームよりご連絡下さい。

内容を確認次第ただちに削除修正等の対応を致します。

タイトルとURLをコピーしました