今月の気になる新作ピックアップ
今月発売、注目の新作をピックアップして紹介します。
星空鉄道とシロの旅 / Switch

イラストレーターであるしらたま氏が主宰の同人サークル「しらたまこ」製作のビジュアルノベルがSwitchに移植されます。発売日は2025年12月11日。
しらたま氏は『ジュエリー・ハーツ・アカデミア』などギャルゲー、R18作品での原画の他、Vtuberのデザインなども手掛けるイラストレーター。サークルでは主に原画を担当されています。
今回移植される『星空鉄道とシロの旅』も同人で展開されている作品ですが、シナリオには『金色ラブリッチェ』や『EVE ghost enemies』など有名なさかき傘氏が参加するなど、かなり豪華な座組で製作されています。

本作、同人版が批評空間でのスコア平均値82となかなかの高評価。自分も気になっていたタイトルなので紹介。
内容は社会で微妙にうまくいっていない主人公が銀河鉄道で少女と出会う…みたいな感じだとは思うんですが、けっこう重たい展開もあるとのことなので、自分の好みに合うかもなと思っています。
同人版はDLsiteやFANZAの同人フロアで配信中。全年齢向けです。Switch版は同人版よりもやや値段が高いですが、新規スチルやBGM鑑賞モードが追加されている他、中国語にも対応。特にBGMは「良いものが多いのに鑑賞モードがないのが残念…!」という声を見かけますので、嬉しい追加要素なのかもしれません。

奇天烈相談ダイヤル / Switch

インディーゲームサークル「法螺会」制作のペパプリライク怪異判定ADVがSwitchに移植されます。2025年12月12日配信予定。
本作、もとはフリーゲームとして配信されたタイトルで、今でもノベルゲームコレクションやSteamからは無料でダウンロード可能。Switch版は有料ですが、要素追加や遊びやすさの向上など改良がなされています。ちなみにケムコからの発売。

『Papers, Please』に影響を受けた内容で、怪異に関する相談をテレビ電話で聞き、それが本物の怪異なのかどうかを資料を参照しながら判定します。フリーゲーム発ですが細かい部分まで手が入っている印象。
ただゲーム内容はペパプリと比べると、やや洗練され切っていない印象も受けます。
とはいえ自分はペパプリは軽く、本作もフリーゲーム版を冒頭のみ遊んだだけです。そのうえで感じるのは、本作はペパプリよりも判定に使う情報量が多いうえに、その情報自体も大量のコマンド選択を要するためか穴埋め感があって、ゲームの中心である情報集めがやや漫然としたプレイ感覚。ペパプリも色々な情報を参照する必要はありますが、一人に対して一度に必要な情報はそう多くありませんし、かつ情報が一気に提示されるので、ゲーム自体に背中を押されてテンポよく遊べる感覚があります。
まぁペパプリと同じものを目指しても仕方がありませんし、本作ならではの要素も強いため、興味のある方はフリーゲーム版だけでも遊ぶ価値は大いにあると思います。ちょっとした部分がフリーゲームの中でも高品質だと思うので。

悠久幻想曲リバイバル/ Switch

かつてセガサターンやプレステ1で展開された友情育成シミュレーションがSwitchに移植されます。発売日は2025年12月18日。
本作、私も原作は遊んでいないのですが、もとは1997年に発売された作品で、人気を集めて続編がいくつも発売されました。ただし新作は長い間とだえていまして、今回はたぶん20年ぶりくらいに復活。当時はメディアワークスからの発売だったようですが、今回はタイトーからです。とはいえスタッフはオリジナル版当時のメンバーが集結しているようで、新しくなるのは主にビジュアル。ゲーム部分やシナリオは基本的にそのままとのこと。

内容はアドベンチャーにシミュレーションパートが加わったもので、特徴は恋愛シミュレーションではなく友情シミュレーションであること。そのため攻略対象には男性キャラクターもいます。そこが当時意欲作と呼ばれた所以で、かなりヒットした模様。
自分もタイトルこそ聞き及んでいましたが未プレイで、有名作ってのもあるので触ってみるモチベは大いにアリ。今年も色んな作品のリメイクやリマスターを見かけましたが、知る限り『悠久幻想曲』は本当に初めての移植なので、ファンには嬉しいことなのではと思います。

【Switch、Steam新作発売スケジュール】12月の主な新作テキストADV
2025年11月末日現在確認できる、Switch、Steamの新作ADV発売スケジュールをまとめています。
新作リストには抜けがあります。
()内は大まかなジャンルやDL専売か否かなどの情報。ジャンルは公式情報などから読み取れない場合、筆者の予測で書いています。
Nintendo Switch
| 発売日 | タイトル(ジャンル) |
|---|---|
| 12/4 | ・CROSS†CHANNEL ~For all people~(ギャルゲー) |
| 12/11 | ・少女探偵 – 不老不死の事件(ミステリ、DL専) ・星空鉄道とシロの旅(ヒューマンドラマ) |
| 12/12 | ・奇天烈相談ダイヤル(ペパプリライク、DL専) |
| 12/18 | ・Ahhnalog 112(恋愛、DL専) ・贈与神家と嘘(西方ファンタジー、DL専) ・陰キャラブコメ インシツマシマシ(乙女) ・オランピアソワレ Catharsis(乙女) ・悠久幻想曲リバイバル(育成SLG) ・初恋マスターアップ(ギャルゲー、DL専) ・バロックシンドローム(サイコホラー、DL専) |
| 12/25 | ・おやおや?大家さん!(人狼、DL専) ・アマカノ2(ギャルゲー) ・キスリム(ギャルゲー) |
Steam
| 発売日 | タイトル |
|---|---|
| 12/5 | ・人類滅亡後のアンドロイドの物語(RPG、SF) ・ムラヤキヴィラン(シミュレーション、乙女) |
| 12/10 | ・死者还阳Escape from the Underworld (ホラー、伝奇) |
| 12/18 | ・バロックシンドローム(サイコホラー) |
| 12/25 | ・Gretel’s Honesty グレーテルの本懐(童話、ホラー) |
| 12/31 | ・コルヌ・コピア 不思議の住む街(ケモノ、ファンタジー) ・花咲く君が連れ出した。夏の終わりの白い花(ヒューマンドラマ、青春) |
| 12月 | ・伝奇系ビジュアルノベル『十四番目のΞ(グザイ) 壱・弐』(伝奇) ・柘榴団地(ホラー) |
一言コメント
今週はSteamからのピックアップは無し…珍しー。ただ『ムラヤキヴィラン』と『コルヌ・コピア 不思議の住む街』はちょっと気になるかな。
『ムラヤキヴィラン』は「女攻め魔王軍育成シミュレーション」と銘打つSLG+ADVで、乙女ゲームの要素を盛り込んだ内容。主人公は女魔王となって攻略対象でもある魔物と組んで村を焼いてまわります。
『コルヌ・コピア 不思議の住む街』はスマホやBOOTHで配信されているビジュアルノベルの移植というかSteam版。コレ、むかしスマホ版をちょっとプレイして、無料なのにクオリティが高くて驚きました。ちなみにSteamのストアページではタイトルが『丰裕之角 不可思议之物居住的小镇』と中国語になっているんですが、もともと日本で作られたゲームで、Steam版もそのまま日本語に対応しているっぽいので、タイトルを日本語に勝手に直しています。もしかしたら修正するかも。
【ニュース】周回遅れのADVニュース
先月中に発表されたADV関連のニュースの中から、気になるものを周回遅れでピックアップ
群像劇型のオカルトホラーADV「Resequence: The Orchard」発表
クリアレーヴが先日のINDIE Live Expoにて新作ADV『Resequence: The Orchard』を発表しました。群像劇型のホラーADVで、Steamでの発売を予定。シナリオを『まのさば』などで有名なRe,AERが手掛けています。
…で、クリアレーヴってどこやねん!と思って検索してみたらR18美少女ゲームブランドの「ぱれっと」や「バグシステム」など抱えているところらしい。とうぜん公式サイトにはR18作品の名前がズラリ並んでいるのですが、今回発表された『Resequence: The Orchard』にはとうぜんアダルト要素はないでしょうから、新しい挑戦だったりするのかな。
そしてシナリオはRe,AER…またですか!?という感覚。
Re,AERは本当に凄い仕事量で、そもそも自社ブランドAcaciaから2026年中に『配信少女ノ裏垢迷宮』と『魔法少女ノ因習村』を発売予定なのですよね。まぁ裏垢迷宮はG-MODEとの共同プロジェクトで、先日にはハイドと協力してAcacia Gamesを設立するというニュースもありました。
だから今回の『Resequence: The Orchard』含めて、何もかもRe,AERの仕事というわけではないと思うんですが、それにしてもこの1年でよく名前を見るようになったなーと思います。

『Resequence: The Orchard』はジャンル的にはかなり好みなので注目しています。
『まのさば』の売り上げ30万本の半分以上が中国語圏らしい

スマッシュヒットを継続中の「まのさば」こと『魔法少女ノ魔女裁判』。先日中国で開催されたインディーゲームのイベントに出展し、多くのファンが集まったようです。
というのも、アナウンスされている売り上げ30万本のうち半分以上が中国語圏での販売で、この記事を書いている現在、Steamレビューも全19000件のうち14000弱が簡体字中国語から…と、中国での反響が圧倒的に大きいようです。
中国でのADVの盛り上がりは既に伝わっていますが、こういうニュースを見るとますます実感しますねぇ。
例えば上で紹介した今月の新作『星空鉄道とシロの旅』のSwitch版も繁体字および簡体字中国語への対応を公式サイトでアピールしています。ここで驚くのは英語がないこと。コストや翻訳しやすさの問題とかもあるんだとは思いますが、ふつう多言語対応というとまずは英語のイメージなので、なかなか意外なことに感じます。
もともと日本で発売されたADVが多言語に対応するのって、既に日本語で遊べている私たちにはあんまり関係ないので見逃しがちなんですが、ビジネスやファンからの需要的には大きなことなんだろうなーと思います。
生成AIが物語を錬成するRPG『サーガ&シーカー』発表

ダグトリアスタジオが「物語錬成ゲーム」と銘打ったRPG『サーガ&シーカー』を発表。RPGではありますが基本的に「プレイヤーがテキストを入力→それに応じた物語をAIが生成」という流れで進めるノベル形式のゲーム…っぽいです。ただ単にAIとラリーするだけでなく、生成したクエストやキャラデータを共有する等の仕組みもあるようです。
生成AIを用いるADVはインディーゲームでは既に何本か出ていますが、その中でも本作はAIにかける比重がかなり大きいように感じます。実は自分もたまにChat GPTとラリーしながら物語を作って遊んだりしてるんですが、これがまたソレっぽいのをしっかり作ってくれるから面白い。これを使ったADV…というのは誰もが妄想するところでしょうが、ついに来たかという感覚です。
面白いのはキャラメイクで、パーソナリティを設定してやると、それに沿ったキャラクターをAIが作ってくれるみたい。現在公開されているスクショではひろゆきを確認可能、スライムに対して論破芸を披露しています。設定次第でこういうキャラも作れるってことでいいのかな。
ただ本作はメディアの記事を読む限り、シナリオを進めるための文章生成には別途課金によるアイテムが必要なようです。いちおう本体購入時にそのアイテムが同時に付与されるようですが、それだけで無限に遊ぶことはできない…のかな?
また本作、生成AIを用いているのはあくまでもシナリオやキャラ設定の生成においてのみで、ゲーム内素材は人間が作ったものを使用しているとのこと。
終わりに
いよいよ今年の新作が出そろいました。
まぁ今月は気になるタイトルは移植がほとんどで、Steamの未知数なタイトルから何か面白いのがでるかなーという感じですが、何だかんだ大きめの新作はアリ。
今月末=年末には今年の振り返りもやる予定です。今の段階でちょろっと思うことを書いてみると、2024年は『笑み男』とか『Everlasting Flowers』みたいな、パッケージ版が出るようなの大き目のタイトルがあって盛り上がった一方で、2025年はどうなることやら…と心配もしていたんですよね。まぁ毎年のことなんですが。
そしてそれはやっぱり杞憂に終わって、ふたを開けてみれば『都市伝説解体センター』や『まのさば』などヒット作があって、特にまのさばのAcaciaは来年も台風の目になってくれそうで注目しています。18禁も『ライムライト・レモネードジャム』とか盛り上がっているようで、自分は遊んでいませんが良かったなと思います。

まぁこのブログは最近はジェンダー・フェミニズム問題に関する話が多くなっていて、新作を遊んで記事を書くってことをできていないのが心残りです。そろそろ作品それ自体の話をしたいなーと半年くらいずっと思っているんですが…来年の『anemoi』辺りで実現したいなぁ…。
著作権について
当サイトで掲載している画像、動画、引用文等の著作権は各権利者所有者に帰属しております。
掲載内容に問題がありましたら権利者ご本人様よりお手数ですが当サイトのお問い合わせフォームよりご連絡下さい。
内容を確認次第ただちに削除修正等の対応を致します。


