【テキストADVマガジン2025年10月号】D.C. Re:tune~ダ・カーポ~リチューンがいよいよ発売。ケムコからの新作とか話題のサイコホラーとか。他。

テキストADVマガジン
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今月の気になる新作ピックアップ

今月発売、注目の新作をピックアップして紹介します。

2025年10月30日発売予定。

CIRCUSの代表作である長寿恋愛ADVシリーズ『ダ・カーポ』の1作目がリメイクされます。発売はブシロードゲームズからですが、製作はCIRCUS。18禁版は現在のところ発表されていません。

『ダ・カーポ』はギャルゲーファンには説明不要の有名シリーズで、オーソドックスなノベルゲームスタイルでプレイする学園恋愛アドベンチャー。その特徴は何といっても、シリーズとして長く続いていることでしょうか。

そもそもこのジャンルはナンバリングがつくようなシリーズ作品自体が多くないのですが、その中で『ダ・カーポ』は現在まで20年以上にわたってシリーズを継続し、新作を出し続けています。現在はナンバリング作品だけで5本あり、ファンディスクや移植なんかも含めると数えきれないくらい。

それでも過去作のリメイクはあまりやってこなかった印象ですが、今回は満を持して…かは分かりませんが、ついに初代が装い新たに返ってくることに。公式サイトではフルリメイクが謳われており、ビジュアルの描き直しや新ヒロインの追加のほか、キャストも一新されています。

本作に限らず、2025年はギャルゲー業界的に過去作復刻の印象が強い1年でして、他にも『ときめきメモリアル』や『ToHeart』が現行ハードやSteamで発売されています。その中でもこの『D.C. Re:tune~ダ・カーポ~リチューン』は、なんというか並々ならぬ気合いを感じます。というのも、本作は前述のとおりブシロードゲームズからの発売なんですが、プロモーションの大きさが同ジャンル他作品と比べても桁違いに大きい…ように見えるんですよね。比肩するのはエンターグラムの『制服カノジョ』シリーズくらい…?

『ときメモ』も『ToHeart』もIPとしては、少なくともプレイヤー側からすればほぼ休眠であると感じますが、『ダ・カーポ』は未だ現役。今回のリメイクでファン層を広げられるのか…けっこう注目しています。自分も購入予定。

2025年10月配信予定。

発売中止になった架空のゲームを巡って展開されるサイコホラー。そのゲーム内にはなぜかプロテクトがかけられたナゾのデータがあり、プレイヤーはこれを通して、ゲーム開発の裏に秘められた闇に迫る…という内容。

現在、本作と世界観を共有するARGがプロモーション的に展開中。公開中のトレーラーから始めることができます。下の動画の23秒あたりにナゾのQRコードがあります。これを読み取ると…?

いわゆるフェイクドキュメンタリー、モキュメンタリーの1つでしょうか。あまり詳しくは知りませんが、ウェブ小説や動画で楽しむものが流行っている印象。ただ公式サイトによると本作の価格は980円。だからテレビ局が作るような大規模なものではないのだと思いますが、意欲作だと感じるので期待しています。

ホラーはけっこう苦手なんですが、この『H9』は発表時からけっこう注目していました。発売予定は2025年10月とのことなので、まだ幅がありますが、TGSにもプレイアブル出展しているようなので、順調に開発が進んでいるのかな。

2025年10月31日配信予定。

ChaoGames開発の「悪魔わからせアドベンチャー」がSteamにて配信されます。プレイヤーは自らが召喚した悪魔「でびるん」と協力し、作品世界のケモノらの感情を昂らせることで魔力を吸収、「でびるん」が真の姿を取り戻すためのお手伝い(?)をします。

魔力を吸収するための尋問的なパートは、プレイヤーの選択によって結果が変化。

体験版を遊んでみますと、ゲームとしての面白さはまずまずですが、目を引くのはケモノキャラたちのビジュアル。ゲーム内では表情も豊かで、コミカルな会話が多め。何よりもまずキャラクターたちとのやり取り自体に魅力がある作品かと思います。キャラクターのちょっとしたリアクションや細かい演出など、小さい部分にもこだわりが感じられる仕上がりで、視覚的に華やか。

決して開発規模の大きい作品ではないと思いますが、パッと見にはそれを感じさせない仕上がりです。

2025年10月2日発売。パッケージ版はPS5のみ。Switch2やSteamでも後日配信予定です。

本作は「最悪なる災厄人間に捧ぐ」など手掛けるウォーターフェニックス開発の新作ADV。いわゆるメタの要素を取り入れた物語で、主人公はプレイヤーに対して提示されるはずの選択肢を知覚することができます。

ユニークなのは、そのメタの視点を持つキャラが主人公以外にも存在するところでしょうか。具体的には、メタ視点を持つ人物の妹が登場します。主人公とプレイヤーの1対1のメタ的な関係なら『アノニマスコード』など有名作がありますが、他にも同じ立場の人物がいるっていうのは、結構めずらしいのかなと思います。

自分は既に購入して冒頭をプレイ済み。

シナリオとしてはお約束的な展開が目立つかなという印象を受けますが、仕組みは面白くて、最終的にどういうところに行きつくかが気になっています。

ハッピールートを終わらせて
任天堂の公式オンラインストア。「ハッピールートを終わらせて」ダウンロード版の販売ページ。マイニンテンドーストアではNintendo Switch 2 (ニンテンドースイッチ2)本体やソフト、オリジナルグッズ、公式ストア限定商品などを販売中。

【Switch、Steam新作発売スケジュール】10月の主な新作テキストADV

2025年9月末日現在確認できる、Switch、Steamの新作ADV発売スケジュールをまとめています。
新作リストには抜けがあります。

()内は大まかなジャンルやDL専売か否かなどの情報。ジャンルは公式情報などから読み取れない場合、筆者の予測で書いています。

Nintendo Switch

発売日タイトル(ジャンル)
10/2ハッピールートを終わらせて(メタ、恋愛、DL専)

魔法使いの嫁 盛夏の幻と夢見る旅路(マンガ原作)

G-MODEアーカイブス+ 藤堂龍之介探偵日記 Vol.7「鈍色の天秤~鬼塚邸連続殺人事件~」(ミステリ、DL専)
10/9Cthulhu Mythos ADV 闇に囁く狂気&呪禍に沈む島(クトゥルフ、TRPG、DL専)

Blackish House sideA→ -Retour-(乙女)
10/16転生遊郭: Ghost Traveler(ミステリ、歴史、DL専)
10/23タユタマ-It’s happy days-(ギャルゲー、DL専)
10/30D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン(ギャルゲー)

神椿學園新聞部(ミステリ、ジュブナイル)

Steam

発売日タイトル
10/2魔法使いの嫁 盛夏の幻と夢見る旅路(マンガ原作)
10/7Road to Karatl(歴史、宗教)
10/8Mutual Harrow(サイコホラー)
10/10イカスミポーション(可愛いキャラ、コミュニケーション)

BatteryNote(SF、コミュニケーション)
10/16・転生遊郭: Ghost Traveler(ミステリ、歴史)
10/23タユタマ-It’s happy days-(ギャルゲー)
10/25Scenes from the Heart – Part 1(恋愛、哲学)
10/31でびるコネクショん(ケモノ、コミュニケーション)
10月・Don’t Make Her Open Her Eyes!(ホラー)

Tipsy Cat(バーテンダー)

H9(サイコホラー)

疑影の狭間(社会問題)

一言コメント

紹介していないものにも注目作は色々ありまして『転生遊郭: Ghost Traveler』はサクセスから発売の歴史×ミステリADV。サクセスがCSでADVを出すのってメチャクチャ久しぶり…?
『Road to Karatl』も怪しい雰囲気で気になっています。『イカスミポーション』は『でびるコネクショん』に近いテイストの可愛いキャラがいっぱい出るゲーム。体験版が面白い…というか、キャラが可愛くて気になっています。

【ニュース】周回遅れのADVニュース

先月中に発表されたADV関連のニュースの中から、気になるものを周回遅れでピックアップ

『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』開発者インタビュー。なぜ今「ダ・カーポ」のリメイクなのか?今の時代に向け「変わったこと」と「変えなかったこと」を訊く - AUTOMATON
『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』のディレクター林氏へのインタビューを実施。フルリメイクの背景や開発の方針について伺うことができた。

AUTOMATONにて『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』の開発者インタビューが公開されています。なかなか興味深いことが書かれていたので紹介。

気になったのは2点…

D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューンはどちらかと言えば新規プレイヤーを意識
・『リチューン』をダ・カーポの新機軸として展開したいと考えている

ですかね。

ブシロードさんと打ち合わせを重ねていく中で、「新キャラを入れてみませんか」や「デザインや音声まわりも新しくするのはどうでしょう」という提案をいただき、「新しくする」ということを前提に考えることで、アイデアが広がっていく面も出てきました。そこで徐々に、23年前当時のファンのみなさんに「懐かしいもの」として提示するという形よりは、今のリアルタイムなファンや「これから『ダ・カーポ』を知っていただける人々」に向けて作っていきたいという方針が自分の中で固まりました。

※太字での強調は筆者

https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/dc-retune-20250912-357436/ / 『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』開発者インタビュー。なぜ今「ダ・カーポ」のリメイクなのか?今の時代に向け「変わったこと」と「変えなかったこと」を訊く より。

2025年は有名恋愛ADVが色々復刻している…という話を上でしました。『ToHeart』や『ときめきメモリアル』など、往年の有名作が再びリリースされています。

そしてそのどれもが、ここからブランドをもう一度立ち上げるってよりは、昔遊んでいたプレイヤーにもういちど触ってもらうことを意識しているように感じます。つまりどちらかと言えば「懐かしいもの」としての提示を感じます。もちろん『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』もその意識がないというわけじゃありませんが、インタビューを読む限り、現役ブランドとしてファン層を更に広げることに意欲的に見えます。似たような流れの中にある一本ではありますが、その目的はけっこう異なると言えるのかもしれません。

本作は元の初代ダ・カーポに大きく手を加えている印象ですが、それはブシロードの提案による後押しもありつつ、シリーズをこれからも展開し続けていくための一本としての、正に「リチューン」であるようです。

そして驚くのは「リチューン」はそれ自体として展開したいと考えている…ということですかね。バイオハザードのREシリーズみたいな感じかな。もちろん商業的な結果がついてくればの話なんでしょうが、今後の「リチューン」の展開にも注目でしょうか。

ニトロプラス所属ライター下倉バイオ初の単著が星海者新書から発売。

下倉バイオは特に18禁美少女ゲームファンには知られたライターで、面白いというか意欲的な仕組みを取り入れた作品を多く手掛けている印象。代表作は…やはり『君と彼女と彼女の恋。』でしょうか。本の発売に合わせて4Gamerでインタビューも公開されています。こちらも読みごたえがある内容。

[インタビュー]ゲームを通じて「困っちゃったな」を共有したい――シナリオライター・下倉バイオ氏が語る,創作の原動力と批評の必要性
ノベルゲームのシナリオ作りの裏側には,どのような原動力や情熱が渦巻いているのか? 今回は「スマガ」「みにくいモジカの子」などで知られるニトロプラスの人気シナリオライター・下倉バイオ氏にお話を伺い,創…

本も既に発売されていまして、私も購入済みなので近々読んでみる予定。ただこの本、新書としてはかなり高いんですよね…。このサイズ、この厚みで2000円はちょっと見ない。

エンターグラム出展情報 | 東京ゲームショウ2025
東京ゲームショウ2025 【ブース場所 HALL5 05-N12】 エンターグラム出展情報一覧

先日のTGSに合わせてエンターグラムが『制服カノジョ3』の製作決定を発表。

ギャルゲーの大量販売停止&移行をしたエンターグラムですが、そのぶんオリジナルタイトルの展開には積極的でして、特に『制服カノジョ』はスゴい勢いで新作を出しています。

初代が2024年2月。そして2が2025年1月。これに加えて外伝というかスピンオフも2本発売していますから、わずか2年弱で関連作含めて4本を発売…量産体制ができているからこそだと思いますが、それにしても早い…。恐らく3の発売もそう遠くないと予想します。

因みにエンターグラムはこのほかにも新作をいろいろ発表しています。『君の瞳にヒットミー!』とスピンオフというかパラレルワールド的な世界で展開される恋愛ADV『スイッチ恋愛!』やインディーノベルゲーム『凪ノ恋』の移植など…。

18禁作品の移植やリメイク等は止めても、戯画から引き継いだIPの活用や小規模開発作品の移植は続けるようで…どういうポジションを目指しているのか全然わからなくなってきました。誰かインタビューしてくれないかな~。

『腐り姫』初のサウンドトラックが2026年1月に発売。『腐り姫の伝説』など20曲が収録、ジャケットデザインは中村哲也氏の描き下ろし | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
Lair-soft(ライアーソフト)より2002年発売のノベルゲーム『腐り姫』のオリジナルサウンドトラックがCDとLPの2形態で2026年1月7日に発売。ジャケットデザインは中村哲也氏の描きおろしで、それぞれ別内容の制作陣インタビューが収録...

Lair-softの人気18禁美少女ADV『腐り姫』のサントラが2026年1月に発売決定。同日にLP版も発売されます。ちなみに『腐り姫』の発売は2002年…実に24年越しの単独でのサントラ発売になります…なぜ今?

何にせよ、自分はこの発表を嬉しく思っています。というのも『腐り姫』のBGMの1つに「とうかんもり」って曲があるんですが、これ大好きなんですよね。これまでは聴く時はゲームを起動するか違法アップロードされたものを聴くかくらいしかなかったので…。

『腐り姫』は正直今遊んで楽しめるもんではないと思いますが、良くも悪くも意欲作というか、ぶっ飛んだ作品なので、古典に興味のあるプレイヤーは触ってみる価値ありと言えるかも…。安いですしね。

サントラはAmazonなどで既に予約可能です。

ドット絵・骨太推理ゲーム『Detective Instinct:さらば愛しき者よ』11月26日リリースへ。“総当たり”に頼らず推理力を引き出すシステム採用、列車内失踪事件の謎に迫る - AUTOMATON
Armonicaは9月15日、『Detective Instinct:さらば愛しき者よ』を今年11月26日にリリースすると発表。本作は、長距離列車を舞台とする推理アドベンチャーゲームだ。

アメリカのスタジオであるArmonicaが開発するコマンド選択推理ADV『Detective Instinct:さらば愛しき者よ』の発売日が決定。11月26日。

このゲーム、結構注目していたのですよね。その理由は、まぁこのブログが一時期コマンド選択ADVについて考えていたっていうのがあるんですが、その過程で本作の体験版を遊んでいまして、なかなか良い感触だったためです。

記事によれば本作は「推理力を引き出す」作りになっているようで、総当たりによって解決できる場面は極力排除されているとのこと…。

…今の段階でどこまで言えるかは難しいですが、この手のADVにおいて、総当たりによる解決をできなくしてしまうというのは結構リスキーというか、丁寧な作りを求められると思います。推理をする段階で与えられている情報から正解を推論できる必要がありますし、またプレイヤーがゲームの情報を忘れてしまうことも当然ありますから、必要な情報をいつでも確認できる仕組みも必須になると思います。

まぁそういうとこまで含めて、どこまでやってくれるのかな~という感じの期待感。

終わりに

2025年の新作もぼちぼち出そろってきました。

今月の注目作は当ブログ的にはやっぱり『D.C. Re:tune』?
最近ギャルゲーは遊べていないんですが、それでもメンタル的にかなり期待しています。まぁいつものダ・カーポから大きく転換するわけではないと思いますし、いつものダ・カーポがスゴく好きてわけではないんですが、やっぱり長寿シリーズが今後まだまだ頑張っていくつもりなことは嬉しく思います。だから応援したいなという気持ちがあるんですよね。

その他、私が好んできたゲームとはタイプが異なりますが『でびるコネクショん』もかなり気になる。ちょっとした演出まで含めてこだわってる作品なので、まぁ同じく気になった方は気軽に体験版を遊んでみて下さい。Steamにて配信中。

そろそろ今年の振り返りもやっていく季節…やっぱり世間的には『都市伝説解体センター』なのかな~。

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