【テキストADVマガジン2025年8月号】日本一ソフトウェア『連呪』、期待が集まる人気サークルの新作など注目どころ多し、他。

テキストADVマガジン
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今月の気になる新作ピックアップ

今月発売、注目の新作をピックアップして紹介します。

2025年8月28日発売。

日本一ソフトウェアの新作ホラーADVがいよいよリリース。ちなみにSteam版はありません。珍しい。

過去には『流行り神』などホラーADVをシリーズで展開していた日本一ソフトウェアですが、今回は新規IPでのリリース。スクリーンショットを見るに3Dダンジョン的な遊びも取り入れているようで、Experienceの心霊ホラーシリーズ(『死印』などのアレ)に影響を受けている…のかな?

面白いのは、本作の目的は霊を祓ったり退治したりすることではなく、あくまでもカメラに収めることである…という点。主人公は可能な限り探索を続け霊を撮影、それを素材にした記事がバズるほど、探索に必要なリソースが回復するとのこと。変わった設定。まぁフレーバー的に現代っぽい要素を取り入れているだけなのかもしれませんが、霊の撃退以外でどう物語的にオチをつけたりするのかが気になります。

今夏のホラー枠となる注目タイトル。

連呪(れんず) | 日本一ソフトウェア
ホラーアドベンチャー『連呪』 2025年8月28日(木)発売

2025年8月8日配信予定。

開発はEdanoue…私も始めて聞いた会社ですが、所在地が東京であること、「鳩羽つぐ」というVtuberの運営元であること以外の情報は不明…なんかホームページもメチャクチャ簡素でナゾ多き感じ。「鳩羽つぐ」は25万人の登録者がいる人気Vtuberなんですが、動画を見る限りちょっと…いやかなり変わった動画を投稿しているようです。

本作『Lavender Quartz 境界秤動』は分岐無しの一本道ビジュアルノベル。どのような経緯で開発に至ったのかもナゾですが、体験版を遊んでみる限り、なかなか気合が入っている印象です。

物語は架空の大国同士の戦時下を描いた内容。テキストは地の文がけっこう多めでちょっとモタつきも感じますが、手間をかけてでもしっかり描写しようという気概も感じます。モノトーンなビジュアルも特徴的で、若い会社の一本目としては無視できない存在感を放っている印象。あと固有名詞が変わった語感でちょっと覚えづらい。

現在は体験版を公開中。地の文に合う合わないがあるタイトルだと思うので、興味があるなら触っておくことをオススメします。

2025年8月15日配信予定。

『イハナシの魔女』で一躍有名になった同人サークルFragariaの新作がいよいよ発売。

今回は前作とはガラリと雰囲気を変えており、SFミステリービジュアルノベルと銘打っています。『イハナシの魔女』がスマッシュヒットしたこともあって、注目度はかなり高まっている印象。

体験版を遊んでみますと、SF周りの設定は素人目にはかなりの気合の入りように映ります。それもそのはずで、本作は実際に宇宙関連の事業を展開するベンチャー「天地人」が技術監修を行っているのですよね。ちょっと前に明らかになり、ずいぶん話題になりました。

私個人としましては、やはりこの設定からはMAGES.の科学ADVシリーズを思い浮かべずにはいられません。キャラ設定的にも『シュタゲ』に近いものがあります。物語冒頭で提示されるナゾも興味深く、バズるポテンシャルは十分かと思います。期待に応えられるか。

※画像はPS Vita版のパッケージ

2025年8月7日配信。

『Fate/stay night』のファンディスクである本作、通称『ホロウ』がついに再移植。物語としては本編のその後にあたりますが、新サーヴァントも登場するなどオマケ的な位置づけには留まらない内容。本作は過去にいちどVitaに移植されたっきりであるため、現在ではプレイ環境的に遊ぶのが難しかったタイトルですが、一気に敷居が下がります。

実は本作、自分は未プレイなんですよね。というかFate自体PS2版を高校生の頃に遊んだっきりなので、この機会にまとめてプレイしようかなーと思っています。…が、遊ぶとしたらブログでなんか書きたいし、そうだとするなら、今やすっかり巨大IPになっているので、それなりの覚悟が必要でしょう。あと長いから大変ってのもあるか。

まぁその辺の私情はさておき、TYPE-MOONはここ数年は毎年のようにコンソールの方で何らかの動きがあって嬉しい限り。『月姫 -A piece of blue glass moon-』の発売以降『魔法使いの夜』の移植とか『Fate/stay night』の移植とか、色々動いてくれているのですよね。

ただし移植の弾は今回の『ホロウ』が最後かなと思います。今後はどうするのかなー。昔あったやたら難しい格ゲーとかリマスターしたりしてなー。

【Switch、Steam新作発売スケジュール】8月の主な新作テキストADV

2025年7月末日現在確認できる、Switch、Steamの新作ADV発売スケジュールをまとめています。
新作リストには抜けがあります。

()内は大まかなジャンルやDL専売か否かなどの情報。ジャンルは公式情報などから読み取れない場合、筆者の予測で書いています。

Nintendo Switch

発売日タイトル(ジャンル)
8/7おかゆにゅ~~む!(Vtuber、恋愛)

悠久のティアブレイド for Nintendo Switch(乙女)

コープスパーティー Book of Shadows(ホラー、DL専)

コープスパーティー -THE ANTHOLOGY- サチコの恋愛遊戯♥Hysteric Birthday 2U(コメディ、DL専)

コープスパーティー TETRALOGY PACK(ホラー)

Fate/hollow ataraxia REMASTERED(ギャルゲー、バトル、DL専)
8/28もし、この世界に神様がいるとするならば。(乙女)

DIG-ROCK -Documentary of Youthful Sounds-(女性向け)

連呪(ホラー)

制服カノジョ2.5(恋愛)

Steam

発売日タイトル
8/7Fate/hollow ataraxia REMASTERED(ギャルゲー、バトル)
8/8Lavender Quartz 境界秤動(戦争)
8/15岩倉アリア(百合、サスペンスホラー)

かえると剣鬼(サスペンス)

ステラーコード(SF)
8/18・躁のあなた鬱のあたし|Manic you and depressed me(ヤンデレ、ホラー)
8/26億のおく(ファンタジー、バトル)
8/29The Murder Hotel(ミステリ)
8月・タユタマ-It’s happy days-(ギャルゲー)

春琉ト怪夜(ホラー)

日進月歩(ヒューマンドラマ)

一言コメント

単独紹介以外だと『コープスパーティー』のセットパッケージなども注目でしょうか。『タユタマ』のファンディスクもSteamにて発売。コンソールの発売スケジュールの穴をSteamの面白そうなタイトルが良い感じに埋めています。

【ニュース】周回遅れのADVニュース

先月中に発表されたADV関連のニュースの中から、気になるものを周回遅れでピックアップ。

人形育成ヴィジュアルノベル『いちばん美味しいゴミだけ食べさせて』を巡って論争が勃発

サークル「のふがに弁当」(@nogasukoto)開発のヴィジュアルノベル『いちばん美味しいゴミだけ食べさせて』が発表され、その後に炎上。詳しい経緯は説明不要かと思いますが、女性の身体的特徴を持ったキャラクターにゴミを食べさせる…という過激な内容がきっかけのようです。ただし単にゴミを食べさせて遊ぶだけではなく、そのことによってキャラクターは知性を獲得し、やがてゴミを拒否するようになるとのこと。論争の方向としては主に表現が女性差別・蔑視的であるとの批判と、それに対する作品擁護で二分化される定番のパターン。

普段ならこういうものは全てノータッチなのですが、当ブログ的には先月にあんな記事を公開した手前、今回ばかりはそういうわけにはいかないだろうと感じています。

そのため、今月中に本作に対して思ったことをこのブログ上でまとめてみる予定でいます。ただしネットでの論争に対する私なりの応答とかではなく、私自身が抱いた疑問と、それに対して私自身が導き出した解答が主な内容になると思います。まだ発売されてもいないゲームなので、内容にツッコむというよりは土台にして話をする…とかになるのではないかなー。

『ダレカレ』がスマッシュヒット&流行

TearyHand Studio開発の「歪みを体験するインタラクティブノベル」こと『ダレカレ』がついに発売。

当ブログでも地味に推してきたタイトル。予想通り(これ重要)良い感じにヒットしている模様で、現在ゲームファンのみならず幅広いインフルエンサーからの反響が次々に投稿されているのが確認できます。作者であるyona氏自身も驚いていることをnoteで語っています。

ダレカレができるまで|yona
7月24日に発売したダレカレ。 予想以上の反響があり、とても驚いているところです。みなさん、遊んでくださり本当にありがとうございます! このnoteではダレカレの制作過程について、少しだけ紹介します。ネタバレはありませんが、まっさらな状態で...

おそらくですが低価格&1時間でクリアできるボリュームというのが良い方向へと作用していて、手軽に薦めやすいのかなと思います。また本作は冒頭の掴みが上手だと思っています。

本作は講談社ゲームクリエイターズラボのパブリッシングを受けて開発されています。そして出版社からのパブリッシングを受けたヒット作といえば、墓場文庫開発で集英社ゲームズがパブリッシングの『都市伝説解体センター』が記憶に新しい。今後もますますこの動きに注目が集まりそうですね。ちなみに体験版を遊んだ感じでは『シュレディンガーズコール』も来ると思っています…多分。

BitSummit the 13thに注目の新作がいろいろ出展

毎年恒例のインディーゲームイベント「BitSummit」が今年も京都で開催。私は現地参加はしていないのですが、メディアの公式レポートなどから面白そうな新作を拾ってみたので、まとめて紹介します。これぞコタツ記事。

・『あなたに花束を


abyss good games開発の作品。バーテンダー系ADVに分類されると思いますが、ゲームの舞台はフラワーショップ。色褪せた記憶をもって訪れるお客さんらの要望を聞きながら、花束やバスケット、リースなどをクラフトする内容のようです。柔らかいタッチで描かれたビジュアル、トレーラーの雰囲気などから、同ジャンルの『Coffee Talk』以上にチルを感じられる内容かなと予想。

502号室:寄宿学校青春ミステリー


韓国発の学園ミステリーADV。トレーラーの雰囲気などから察するに、恐らく人が死なないコージーミステリーだと思います。現状の情報から読み取れるものは少ないのですが、最近は韓国の推理ADVがかなり存在感を放っている印象なので、本作にも期待しています。

・Pain Pain Go Away!

タイピング練習ソフトとアドベンチャーゲームが融合した「心療タイピング型アドベンチャーゲーム」がLorebardから発売予定。Lorebardは「ソフィアは嘘と引き換えに」の企画・シナリオなど手掛けたストーリーノートが立ち上げたアドベンチャーゲームの新ブランドで、その理念や立ち上げの経緯などがファミ通.comのインタビューで語られています。

『Pain Pain Go Away!』インタビュー。『ドラクエX』や“第四境界”の藤澤仁氏が若手スタッフと手掛けるタイピングアドベンチャー。目指すは“新たな物語表現の発明” | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
『Pain Pain Go Away!』(ぺぺごあ)体験版がSteamストアにて配信スタート。その開発者に異色の心療タイピング型アドベンチャーゲームが生まれた経緯を訊く。

本作は画面上に流れてくるワード=キャラのトラウマを、実際にキーボードで打ち込むことにより破壊しながら、キャラクターの深層心理にせまる物語が展開される内容。現在公開中の体験版を遊んでみますと、ユニークな切り口だなと思う一方で、タイピングのシーンは物語の進行が薄いため、プレイしていて間延び感をちょっと覚えるかなー。

novamicus 2nd Projectのタイトルや発売時期など発表

5月にティザーサイトをオープンしていたnovamicusの2nd projectのタイトルや発売時期が発表。

明らかになったタイトルは『Crossover Clover』。発売は2026年末とのこと。公式サイトは相変わらずティザーのままなんですが、Xの公式アカウントではキャラ設定なども徐々に公開されていっています。

発売はまだまだ先ですが、ジャンル古参ファンからの注目度は高い…はず。まぁしばらくは動向を見る以外はできませんけども。

イシイジロウ新作『シブヤスクランブルストーリーズ』が2028年発売に向けて製作決定

イシイジロウ氏ほか『街』や『428 〜封鎖された渋谷で〜』のスタッフらも結集する新作実写アドベンチャー『シブヤスクランブルストーリーズ』が正式に製作決定。発売時期は2028年を目指すとのこと。かなり先の話になっていますが、そもそも先日のクラウドファンディングは「まずプロトタイプを作るためのクラウドファンディング」みたいな位置づけだったと思うので、仕方ないのかな。

ちなみに大まかな開発スケジュールも公開されています。みるとシナリオ製作には丸1年かける予定のようで、気合いの入れようが伝わってきます。

この動きに関連しているのかは不明ですが、最近はイシイジロウ氏がADVを語る…みたいな記事をよく見る気がします。いずれも開発哲学や影響を受けている作品への言及がある興味深い内容でした。

『428』『ハンドラ』『マギレコ』開発者講演から見る、ADVゲームの未来。ゲームメカニクスで物語を「壊す」のがADVの本質 - AUTOMATON
「シナリオとキャラクターでユーザーを惹きつける方法 ~ADVにおける物語演出の魔力~」と題されたセッションを取り上げる。

終わりに

バラエティ豊かな新作が集う、日本の夏…。

今年のホラー枠として『連呪』はもともと注目していたのですが、そこに『ステラーコード』があり、『Fate/hollow ataraxia REMASTERED』まで滑り込んできてくれて、一気に賑やかになったなと思います。単独では紹介しませんでしたが『岩倉アリア』のSteam版もついに発売と、規模の大小含めて遊ぶタイトルに困ることはないでしょう。ちっと未知数だけど中国発の『億のおく』もかなり手をかけて作っていそうな印象です。

いいニュースが色々とあるなか、久々の炎上騒ぎもあり…まぁこれに関してはその内ブログで思ったことをまとめる予定です。

では私はと言いますと…正直、最近ゲームは全然遊べていません。まぁなんかそれ以外のことが色々忙しくて…というのは言い訳ですね。時間はいつだってそこにある。使うのが下手なだけ。

ただまぁそういう根性論的なものを抜きにしても、最近は「ビデオゲームをプレイする」以外の方法でビデオゲームについて考えている機会が増えたような気がします。これも何だか凄く言い訳くさいですが、そういうものの全てはこのブログのためにやっていることですから、記事にて語るとしましょう。カッコつけすぎか。

とはいえ8月の連休くらいは長編とか話題作に手を付けるか―と思っています。何だろう、『風雨来記5』とか?

それと、こちらでもお知らせしておきますが、当ブログは記事の大量削除を行いました。読者の皆さんのお気に入りの記事とか、あるのか知りませんが、もしあったら申し訳ない。なに? 特にない?

でもこれは閉鎖とか有料化とか全然そんな話ではなくて、単純な整理整頓です。私の考え方というか、そういうものもここ最近大きく変化していまして、そこから改めて過去記事を見直すと、納得のいかない部分が凄く多いのですよね。それ以上の意味は何もありません。今後も変わらず更新を続けていくのでよろしくお願いします。しばらくはコンテンツ不足になっちゃいますが、時間をかけてまた積み上げていきます。

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