今月の気になる新作ピックアップ
今月発売、注目の新作をピックアップして紹介します。
ToHeart/ Switch、Steam
2025年6月26日発売。
国産恋愛アドベンチャーにおける記念碑的作品『Toheart』のリメイク版が発売されます。
リメイク元は1997年に発売された同タイトル。ウソかホントか、恋愛ADVの主流がノベルゲーム型になったのは本作の影響である…と言われるほど、当時は大きな影響力を持ちました。今回は主にグラフィックを一新してのリメイク。それも2Dビジュアルを描き直すのではなくフル3Dにしての発売ということで、スクリーンショットなどから受ける印象は原作とは大きく異なります。
恋愛ADV界隈では最近になって旧作のリメイクが多くなっている印象で、本記事公開直前にもFG REMAKEが『野々村病院の人々』(18禁)のリメイク版を発表したほか、ブシロードゲームズは『D.C. ～ダ・カーポ～』のリメイクである『D.C. Re:tune ～ダ・カーポ～ リチューン』の年内発売をアナウンス…と、往年の有名作が次々に再展開されています。
中でも『Toheart』はその知名度や、視覚的に感じられるリメイク度合いの大きさにより注目を受けている印象。ただ先日の『ときめきメモリアル』もそうでしたが、旧作恋愛ADVはその多くが古さゆえの不便さを抱えた作品であることも事実。また物語を描くことが重視される…つまり『Fate/stay night』のような作品が台頭する…以前の作品群が多いイメージですから、その中で改めて発売される『Toheart』はどのような評価を受けるのか…かなり気になっています。一応インタビューなど読んでみますと、ヒロイン攻略をガイドする新機能が追加されているとのこと。自分もとりあえずSwitch版を予約済みです。
霜夜ゆく/ Steam
2025年6月21日配信。
同人サークル「旧世紀網膜博物館」制作のSFローグライトがSteamに移植されます。
既にスマートフォン版が配信済みで、そちらを小規模開発ゲームファンがオススメしているのを見たことがありまして、気になっていたタイトルなので紹介。
内容はSF小説における「方程式もの」をゲームに落とし込んだような仕組み。密航者のせいで重量オーバーになった宇宙船から不用品を廃棄し、目的地を目指そう！という物語が展開されるようです。何を捨てるかはプレイヤーが選択します。ちなみにもとになったSF小説では密航者を…らしい。
さらに目的地到着後にもミッションがあり、そこでは宇宙船内に残った備品が攻略のカギになるため、やたらめったら捨てればいいわけでもない…と、ロープライスかつ小規模開発の作品ですが、ちょっと戦略も求められるゲームなのかな。
【Switch、Steam新作発売スケジュール】6月の主な新作テキストADV
2025年5月末日現在確認できる、Switch、Steamの新作ADV発売スケジュールをまとめています。
新作リストには抜けがあります。
()内は大まかなジャンルやDL専売か否かなどの情報。ジャンルは公式情報などから読み取れない場合、筆者の予測で書いています。
Nintendo Switch
| 発売日 | タイトル(ジャンル) |
|---|---|
| 6/5 | ・数乱digit for Nintendo Switch(乙女) ・夏目友人帳 〜葉月の記〜(マンガ原作) ・Side Kicks! beyond(乙女) ・レッドベルの慟哭(DL専、乙女) ・だましてあいして(DL専、恋愛) |
| 6/6 | ・1f y0u’re a gh0st ca11 me here!(DL専) |
| 6/12 | ・VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END(ポストアポカリプス) |
| 6/19 | ・十鬼の絆 for Nintendo Switch(乙女) |
| 6/26 | ・ToHeart(ギャルゲー) ・白恋サクラ＊グラム(ギャルゲー) ・bitter smile.(ギャルゲー) |
Steam
| 発売日 | タイトル |
|---|---|
| 6/3 | ・終わらない季節の真ん中で(恋愛、夏) |
| 6/5 | ・贄の町 いろむすび(BL) |
| 6/12 | ・VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END(ポストアポカリプス) ・KANADE(恋愛) |
| 6/17 | ・A Tithe in Blood 〜血の契り〜(百合) |
| 6/18 | ・The Elevator: Beyond the Doors(ヒューマンドラマ) |
| 6/20 | ・やがて散りゆく鏡の花へ(伝奇ホラー) ・メンヘラ＆トロール(恋愛) |
| 6/21 | ・霜夜ゆく(SF、ローグライト) |
| 6/26 | ・Toheart(ギャルゲー) |
| 6月 | ・Yoram – Question Arc(サスペンス) |
一言コメント
色々発売されますがピックアップするほど気になったのは上記の2本。『The Elevator: Beyond the Doors』がちょっと気になるけど、情報が少ないので単独での紹介が難しい。浅生詠がシナリオを書く『KANADE』もフロントウィング×グッドスマイルカンパニーから発売されます。『GINKA』や『ATRI』の系譜…だと思う。工画堂スタジオの新作『やがて散りゆく鏡の花へ』も今月ですね。
【ニュース】周回遅れのADVニュース
先月中に発表されたADV関連のニュースの中から、気になるものを周回遅れでピックアップ。
novamicusが『ONE』リメイクに続く2nd Projectを発表
2023年末に『ONE』リメイクを発売したnovamicusが2nd projectのティザーサイトをオープン。現状はシナリオ(たけうちこうた)、原画(樋上いたる)、メインビジュアルのみで、タイトルも不明…おそらくリメイクではなく完全新作…？
この段階で何かを語るのも難しいですが、『ONE』はその名前の力がとても大きいタイトルでした。新作となるとそういう後ろ盾もなくなるので、果たして…という感覚。
イシイジロウが総監督を務める「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」始動
『428』のイシイジロウが総監督を務める「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」が始動。主に『428』に関わったスタッフが再び集まっているほか『街』にて雨宮桂馬を演じたあらい正和、更に麻野一哉まで…と、錚々たる顔ぶれでのプロジェクトのようです。
現在クラウドファンディングにて資金調達中…なんですが、このお金はプレゼン用のプロトタイプを作るための資金とのこと。つまりまだ製品として開発できるかどうかは未知数で、まずはプレゼンのためのゲームを作るところから…ってわけですね。
まだ開発するかどうかも分からないので、クラウドファンディングの返礼品にゲーム本編は含まれておりません…うーむ難しい。『428』と『街』は国産ADVとしては本当に頂点というか、知名度まで持った良作としてはこれに並ぶ作品はほぼない。そう言ってよいくらいの作品だとは思いますが、今回は上手くいくのかな～。なんというか、どちらも奇跡の作品というか、そのような気もしなくはない。
まぁ始まったばかりのプロジェクトに難癖をつけるのも面白くありません。そして本クラウドファンディングは記事公開時点でとっくに目標金額を達成していますから、ひとまず何かゲームとして遊べる日が来るのを期待していいのかな。
韓国発の推理ADV『Kill The Clock』が早期アクセスを開始
韓国のインディーゲームスタジオ Happy Slugs開発の推理ADV『Kill The Clock』がSteamにて早期アクセスを開始しました。
結構注目しているタイトルです。というのも本作はゲーム内にダイスロールによる成否判定の遊びを取り入れてありまして、探偵役である主人公の行動はこれによって失敗したりもする模様。更に物語もユニークで、主人公はループする世界の中で何度も同じ被害者の遺体を発見するのですが、その犯人と殺害方法は毎回異なる…とのこと。その他サブイベントとかもあるみたいで、なんかもうちょっとしたRPGみたいなプレイ感覚…なのかも。
ダイスを使った判定を取り入れたADVというのは『Citizen Sleeper』など耳にしますが、自分は一度も遊んだことがありません。最近は推理ADVを色々やっているのもあって、こういうちょっと複雑な遊びを入れた作品も触ってみたいな…と思っています。
Laplacianが開発中新作4本をポストで発表
ビジュアルノベルメーカーLaplacianが開発中の新作4本を突然ポストで発表。代表の緒乃ワサビがシナリオを書くのが2本、かずきふみが1本…そしてもう一本は『Re:ゼロから始める異世界生活』の作者である長月達平が参加と、サラッと発表したけど大きめの内容。
Laplacianといえば18禁撤退以降は新作ゲームの発売が途絶えていたと思いますけれど、こんなに仕込んでいたとは…。代表作である『白昼夢の青写真』は自分もたいそう楽しんだクチなので、今回の発表はなかなか嬉しい。ただし年内発売予定なのは『記憶の鍵盤』の一本のみ。これは同名の小説をゲーム化した内容とのこと。小説版は新潮文庫nexから6月末に発売予定で、書いたのはやっぱり緒乃ワサビ。
『D.C. Re:tune ～ダ・カーポ～ リチューン』の発売日が2025年10月30日に決定
ブシロードゲームズが『D.C. ～ダ・カーポ～』のリメイク版の発売日を発表。既に予約も始まっています。リメイク版はビジュアルの描き直しに新キャストでのボイス新録、新ヒロインの追加…と、本当にリメイクしている模様。
上で紹介した『Toheart』も発売になりますし、先月は『ときめきメモリアル』も…と、2025年は懐かしい名前が並ぶ1年。ただこの2作はシリーズの展開自体がほぼ止まっていたのに対し、CIRCUSは『D.C.』をずっと作り続けているのですよね。だから久しぶりという感覚は全然ない。その売り方は曲芸商法と揶揄されることもありますが、なんのかんの現役シリーズとして展開を続けられているのは、今となってはなかなかスゴいことと言えるのかもしれません。
TYPE-MOONがSteam、Nintendo Switch向け「Fate/hollow ataraxia REMASTERED」の2025年内発売を発表
TYPE-MOONが『Fate/stay night』20周年記念コンサートのパンフレット内で『Fate/hollow ataraxia REMASTERED』の発売時期を発表。ホロウは私が知る限りVita以外に移植されたことはないので、ようやく現行機で遊べるようになります。
ゲーム開発に時間をかけることで有名なTYPE-MOONですが、この移植は順調にいっていたようで何より…。そういえば『Fate/EXTRA』のリメイクとかどうなってんだ？と思って公式サイトを見てみたら、これも2025年内発売予定でした…いけんのかホントに。ただこれはバンダイナムコがパブリッシャー…なのか開発なのかは分かりませんが、主導しているっぽく見えるので、音沙汰無しからのドデカ延期はないと思いたいですね。
DMM GAMES x Tookyo Gamesが新作ADV『終天教団』を発表
DMM GAMES x Tookyo Gamesが新作ADVを発表。企画原案は小高さん。開発は『ダイダロス：ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ』など手掛けたネイロ。
『終天教団』とはゲーム内に登場する架空の宗教団体の名前でもあり、シナリオはその教祖が殺害され、犯人捜しをする…というもの。面白いのは5人の容疑者それぞれを捜査する過程でゲームシステム自体が大きく変化する点。例えばある容疑者のルートでは恋愛ADVになり、そしてまた別の容疑者のルートではマルチ視点ザッピングノベルになるようで、なかなか珍しい作り。
開発のネイロは実績は色々あるものの、外すときはガッツリ外すイメージですが…まとめきれるのでしょうか。ちなみに直近の作品である『スカーレッドサルベーション』は芳しくない様子。
Tookyo Gamesはつい先日『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』を発売したばかり。大きなIPが連続で展開されることになります。
終わりに
新作の紹介が少なくなりました…いろいろ漁ってみたんですけど自分のアンテナに引っ掛かる作品は多くない…か、あるいは日本語非対応で具体的な紹介のしようがないものばかりだったので。『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』とかも注目タイトルだとは思うんですが、もうちっと若い層を狙っているのかなーという印象。
とりあえずはPSP以来の『ToHeart』を楽しみにしています。
一方でニュースは色々ありまして、でかいネームバリューを持った作品や有名開発者が活発に動いていおり、かつ小規模開発の面白そうなものも続々出ていて、どれを取り上げようか迷いました。『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』のパッケージ版とかも出るらしい。
んで私は何をしているのかと言いますと、ひとまず『都市伝説解体センター』の感想記事をチマチマと書いています。ただこの記事、自分でも思うくらい全然面白くない…発売からずいぶん経っているのに平凡な内容しか書けないな—と思っているので、たぶんなんかこう、不満足に終わりそうな予感。ゲームは良いんですけどね。この次は何を遊ぼうかなー。SAEKOかなー。
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