【本の感想まとめ2】本は読むだけでは何も変わらない、ではどうすれば…「東大読書」など3冊

本の感想
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月1の予定の本の感想まとめ
今回は

てのひらの京 / 綿矢りさ
1日ひとつだけ、強くなる / 梅原大吾
東大読書 / 西岡壱誠

この3冊です。

てのひらの京 / 綿矢りさ

美しい風景描写が好きです。
青い空に白い雲、吹くそよ風と揺れる木の葉。そんな誰もが清々しい気持ちになる風景を、その人にしか書けない美しい言葉で切り取っている…そんな一文に出会えたとき、どうしようもなく憧れてしまいます。
このブログにやたらと青空の画像を使うのも、実はそこに理由があったりします。


「手のひらの京」は特段にそれが良い本でした。
京都は修学旅行先で行ったきりなのですが、この本を読んでいるとその景観が目に浮かぶようです。
大きな特徴は、人の目を通した風景が描かれていること。
例えば夜の川などは、その時の心情によって落ち着きを感じることもあれば、恐く感じることもあります。

「手のひらの京」では正にそんな、それを見る登場人物が感じていることにも触れながら、京都の風景が描写されています。
それがこのリアリティを生み出しているのかもしれません。
作者自身が京都出身だからでしょうか。慈しむように書かれた京都を思い浮かべてみると、また行ってみたいな、だなんて思ってしまいます。

京都の空はどうにも柔らかい。頭上に広がる淡い水色に、綿菓子をちぎった雲の一片がふわふわと浮いている。鴨川から眺める空は清々しくも甘い気配に満ちている。春から初夏にかけての何かはじまりそうな予感が、空の色にも溶け込んでいる感じ。凛が思い切り息を吸い込むと、水草が醸し出す川の香りが胸を満たした。


「てのひらの京」 綿矢りさ 新潮文庫


主人公は3人の姉妹。
それぞれが悩みを抱えて歩む、人間ドラマとしても先が気になる内容に仕上がっているのは、さすが綿矢りさといったところでしょうか。

1日ひとつだけ、強くなる / 梅原大吾

私はウメハラの本が好きでよく読んでいるのですが、本書だけは未読でした。
今回Kindleアンリミテッドの対象になっていたので、ようやく。

内容はやはり、ウメハラの勝負哲学を語ったもの。
今更言うまでもなく格ゲーマーであるウメハラですが、その勝負に向き合う精神や心構えは仕事や勉強はもちろん、全ての事柄に通用するものです。
音ゲーを本気で遊んでいた頃、行き詰まるたびにウメハラの本を読んでいたのを思い出します。

特に印象に残ったのは、上手く行っているときの視点の話。
私たちは通常、失敗したら修正する…という形を取りますが、ウメハラ曰く、それではもう遅いとのこと。

相対的に勝てていても、現在の視点になんとなく伸びしろが感じられないことがあれば、先手を打って新しい視点に移行する。勝っていて今の視点に不足を感じていなくても、新しい視点を思いつけば試してみて必要なら移行する。

「1日ひとつだけ、強くなる」 梅原大吾 中経出版

うーん、こんな視点を持ち続けられる人がどれだけいるでしょうか。
例え今成功していても、不足を感じていなくても、新しいことを追求する…
ただゲームが上手いだけでは、ウメハラのようにはなれない。
そのことを改めて感じさせられました。

生き方に影響を与えうる1冊。誰にでもオススメできる内容ですが、やはり格闘ゲームの話も多いため、そのあたりの基礎知識がある人には特にオススメです。
また本書はこれまでのウメハラ本を踏まえた上で、更に一歩踏み込むような内容になっています。
そのため、ウメハラ本を一度も読んだことがないという方には、「勝負論」や「勝ち続ける意志力」を先に読むことを勧めます。

東大読書 / 西岡壱誠

著者が調べた東大生がやっている読書術を解説した本。
ビジネス書や自己啓発本は読むだけではなんの意味もなく、そこから影響を受けて何かが変わらなければいけません。
そのためには「読み方」が大切になってくる。では、日本でトップクラスの頭脳を持つ東大生たちの読書術とは…?

この手の読書術本は読んだことがなかったのですが、ためになる内容でした。
いわゆる「ワーク」が思いの外多く、すべてを実行するのは大変です
でもこんな考え方を知っておくだけでも勉強になります。
中でも刺激を受けたのは「質問読み」の章。

その情報がどういう意味で、どういうデータに立脚した情報で、何の意味があるのか。そういったことを吟味して考える過程があってはじめて、「情報」を「知識」に変えることができるのです。


「東大読書」 西岡壱誠 東洋経済新報社

私などは偉い人の言ったことや丁寧に組み立てられた文章を読むと、すぐに「そのとおりだ!」と鵜呑みにしてしまいます。
しかし、そうではいけないのだと。
本当に正しいの? なぜ、そうなるの?と本と対話し、その答えを本の中に探しながら読むことが大切なのだそう。
そうしながら読んだ本から得たものは「情報」ではなく、「知識」として蓄積されていく…



例えば、すごく完成度の高い文章を見ても、簡単には鵜呑みにしてやらないぞ!などと思いながら読むわけです。
本当にそうなの? なんでそう言えるの?と、イヤらしく質問しながら読む。
あるいは、無理やりにでも反論するとしたら、どこだろう?などと考える(イヤな読者です)
その文章の中できちんと解説されている場合がほとんどですが、時に面白い視点が見つかることがあります。

手前味噌で恐縮ですが、先日、映画の倍速再生に関する記事を書きました。

実はこれも、この東大読書から得た読書術から生まれた記事です。
映画の倍速再生=冒涜だとする意見が多いけれど、それは本当にそうなのだろうか?と考えた結果、あのような視点が自分の中に生まれました。

本をよく読む…という人にオススメの一冊。
このブログの文章も信用してもらえなくなるかもしれませんが…(笑)


以上3冊の感想でした。

DMMブックスのセールで買った大量の本も少しずつ読み進めています。
やはりブロガーとして良い文章に触れてマイナスはないだろうと思うので、たくさんの本を読んでみたいところです。
ゲームとの兼ね合いもあって、なかなか時間が取れないのですが…。

プロフィール
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日々プレイしたゲームの、忖度のないレビュー。オタクしていて思ったことを書いています。ADV、音ゲーが特に好き。

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