Vita、Switchで配信され話題を呼んだADV「グノーシア」のレビューです。
今回はSwitch版を購入してプレイしました。
人狼ゲームとは本来、オフラインで集まって、会話をしながら頭脳戦を繰り広げる、テーブルトークRPGと呼ばれるジャンルのゲーム。
本作はそれをシミュレーションし、プレイヤーもゲームに参加しながら遊ぶ内容となっています。
今回はその感想を。
あえて手軽に。プレイヤーも参加するバーチャル人狼ゲーム
本作の大きな特徴は、とても手軽に人狼ゲームを体感できる点です。
と言うのも、人狼ゲームとはヘビーなゲームなんです。
オフラインで人を集める必要がありますし、更にお互いに疑い合い、嘘つきを見つけ出し、一人ずつゲームから除外していく…
面白そうではありますが、なかなか敷居が高い。
本作はそんな人狼ゲームをあえて思いっきり手軽にし、一回のゲームも10分前後と短くすることで気軽に遊べるゲームに変えています。
コンピューター相手ですから疑うことの罪悪感も薄いですし、1ゲームがすぐ終わるので仮に間違ったとしてもあまり気にせず次に行ける。
対人の緊張感こそが人狼ゲーム!という意見もあるでしょう。
しかしその緊張感は重さにも繋がり、ちょっとやってみよう、という感覚で参加するのが難しい。
グノーシアは正直軽いです。
軽いからこそ気軽に参加し、短いからこそとりあえずやってみるかでガンガンプレイしてしまう手軽さがあります。
超手軽に遊べるバーチャル人狼シミュレーター、それがグノーシアなのです。
もちろんチュートリアルもきちんとしているので、そもそも人狼ゲームって何?と言う人でも遊べます。

COM戦オンリーなのに、虚しさを感じない緻密な調整
心理戦が重要なゲームをコンピューターとやると、どうしても虚しさを感じることがあります。
例えばババ抜きをコンピューターとやっても、楽しくありません。
それはそこに人間らしさを感じさせる嘘や表情がなく、ただの運ゲーになってしまうから。
しかし本作はコンピューター戦のみでありながら、しっかり駆け引きを楽しみつつ遊べるように緻密な調整がなされています。
プレイヤー以外に14人のキャラクターがいますが、一人一人に性格や頭の良さ、思考の傾向などが細かく設定されています。
そのため、まるで人間とやっているかのような感覚で遊ぶことが可能。
息を吐くように嘘をつくやつもいれば、後ろめたいことがあると途端に黙り込むやつ
逆に嘘が苦手なやつ、バレバレの矛盾に気づかないやつ…
こちらがボロを出すと一発で見抜いてくる怖いやつなどもおり、対戦相手のバリエーションが豊か。
それゆえに必勝パターンが存在せず、参加人数やプレイヤーの役割も毎回変えられるので、常に違う展開で遊び続けることができます。
時にはあらぬ疑いをかけられて早々に退場させられることも…

ついつい遊び続けてしまう、謎多きストーリー
本作は10分前後で終わる人狼ゲームを、ひたすら繰り返す内容
1ゲームが終わるとすぐに人数設定画面に戻り、また人狼ゲームが始まります
しかし、いくらバーチャル人狼ゲームとして出来がいいとは言え、10分前後で終わるゲームを何度も遊び続けるのはさすがに味気ない。
そこを本作は、短い間隔で何度も人狼ゲームを遊ぶ内容を「ループしている世界での出来事」とし、そこからの脱出を目指すというストーリーを用意してあります。
ストーリーを進めるという動機があるので、手軽に人狼ゲームを遊べるだけでなく、ゴールを目指して進むADVとしても楽しめる内容になっているのです。
しかし真相に迫る情報はかなり小出しで、焦らしてくる。
中には衝撃を受けるような展開もあり、先が気になってしまう内容です。
1ゲームが短い×ストーリーが気になる=どんどん遊び続けてしまうゲームになっています。
ただしそのストーリー自体は、がっつり読ませるものではありません。
骨太な内容を期待してしまうと肩透かしを食らうかも。

ゲーム終盤はさすがに淡白さも
前述の通り、本作は短い間隔で何度も人狼ゲームを遊びながら、謎へ迫るストーリーを進めていきます。
バーチャル人狼として出来が良く、同じ展開になることはほとんど無いため、繰り返し遊び続けていても飽きが来づらい…のですが…
さすがに後半は飽きてしまいました
クリアまでには相当な回数の人狼ゲームをこなすことになります。
手軽に遊べる内容ではあるんです。
ですがしっかり勝とうと思うと簡単ではないため、ストーリーという目的があっても後半は疲れてきてしまう。
また中盤でもなかなかストーリーが進行しないときはやきもきすることも。
バーチャル人狼、そしてADVに徹底し、とにかく繰り返す内容であるがゆえに、やっているうちにどうしても飽き、遊びとしての淡白さを感じてしまうことがありました。

総評
バーチャル人狼×デジタルノベル
2つの要素が融合したプレイヤー参加型のADV
手軽さゆえにあっさり終わってとにかく繰り返す内容を、ループする世界と位置付けている点がユニーク
一区切りが短いのでどんどん遊び続けてしまう面白さがあります。
本来オフラインで人を集めて遊ぶ人狼を、ゲーム機の中で手軽に体験できるのは嬉しいですね
その一方、要素が少ないゆえに飽きや、淡白さを感じる面も。
ゲームデザイン上仕方ないことですが、ストーリーをもうちょっと進めやすくしても良かったかもしれません。
またADVといってもしっかり読ませるタイプではないため、濃厚なストーリーを求めている人も注意です。
コンピューターと遊べるバーチャル人狼ゲーム
先日パッケージ版も発売になりましたので、この機会に遊んでみてはいかがでしょうか
